郵便学者・内藤陽介のブログ
 切手というモノを、ちょっと違った角度から眺めてみると、あなたの知的好奇心をくすぐる新たな発見がイロイロあるのです。そんな切手の面白さを綴っていこうと思っています。
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 恐竜の日
 いまから85年前の1923年4月17日、アメリカの動物学者ロイ・チャプマン・アンドルーズが、後に恐竜の卵の化石を発見することになるゴビ砂漠探検のため、北京を出発したことにちなんで、4月17日は恐竜の日なのだそうです。というわけで、今日はこの1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 中国・恐竜

 これは、1958年4月15日に中国が発行した「古代生物」の1枚で、ルーフェンゴサウルス(許氏禄豊竜)が描かれています。いわゆる恐竜切手としては世界最初のものとされていますから、今年は恐竜切手50年ということにもなりますな。

 ルーフェンゴサウルスは、ジュラ紀に生息していた古竜脚類の一種で、全長が約6mあります。草食、肉食、雑食性であるとの議論がありますが、胃石が骨格と一緒に発見されていることから、草食である可能性があると考えられています。

 1938年、中国恐竜学の父と呼ばれる楊鐘健に勧められた地質学者の下美年らは、雲南省での恐竜発掘を行い、古竜脚類のほぼ完全な骨格を発見します。これが、1941年になって楊により学術的に登録され、その際、発見地の禄豊(ルーフオン)にちなんでルーフェンゴサウルスと名付けられました。

 それ以前の中国における恐竜発掘の歴史は、主として外国人の手によるもので、中国人の手による最初の恐竜発見とされる1922年の山東省莱陽県においてハドロサウルス類の部分骨格化石を発見でも、中国人地質学者の渾錫疇ち、スウェーデンのグンナール・アンデルセンによる共同発掘でした。このため、ルーフェンゴサウルスの発見は、純粋に中国人による業績として、近代中国の科学史においては重要な意味を持っており、今回ご紹介の切手もその20周年に合わせて発行されています。

 さて、恐竜というと、僕なんかは、どうしてもその巨体ゆえに環境の変化に適応できず、滅亡していったというストーリーを連想してしまうのですが、この切手を発行した中華人民共和国という国はどうなんでしょうかねぇ。

 現在の中国政府は、チベットやウィグル、トルキスタン、内蒙古などの周辺諸民族の居住地域を強引に抱え込んで、その独立運動や自治の要求を力ずくで抑え込むことによって、なんとか巨大国家としての統制を保っているわけですが、中国国内の人権抑圧はひとえにそうした巨体を維持するためのものでしかありません。そして、巨体を維持するための抑圧的な体制が、結果としてさらなる抵抗を生み、それを抑え込むために人権抑圧がますますひどくなるという悪循環は、彼らがその巨体のなにがしかを放棄しない限り、延々と続いていくことになるでしょう。

 ここで、思い切って周辺諸国を分離・独立させたうえで、友好・善隣関係を築くという発想の転換ができれば、恐竜は哺乳類に進化して生き延びていくことも可能なんでしょうが、共産党による一党独裁体制という化石にしがみついている限り、それも難しいでしょうね。
 
 イベントのご案内 
 4月26日(土)13:00より、東京・浅草の都立産業貿易センター台東館にて開催のスタンプショウ’08会場内にて、拙著『近代美術・特殊鳥類の時代』の刊行を記念してトークイベントを行います。入場は無料で、スタンプショウ会場ならではの特典もご用意しておりますので、是非、遊びに来てください。皆様のお越しを心よりお待ち申しております。 

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プロフィール

内藤陽介 (ないとう・ようすけ)

Author:内藤陽介 (ないとう・ようすけ)
 1967年、東京都生。東京大学文学部卒業。郵便学者。日本文芸家協会会員。切手の博物館・副館長。切手などの郵便資料から、国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し、研究・著作活動を続けている。
 主著:<解説・戦後記念切手>シリーズ(日本郵趣出版、現在、第6巻まで刊行)、『北朝鮮事典』、(竹内書店新社)、『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)、『切手と戦争』(新潮新書)、『反米の世界史』(講談社現代新書)、『皇室切手』(平凡社)、『これが戦争だ!』(ちくま新書)、『満洲切手』(角川選書)、『香港歴史漫郵記』(大修館書店)、『タイ三都周郵記』(彩流社)ほか著書多数。最新作は『韓国現代史:切手でたどる60年』(福村出版)

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