内藤陽介 Yosuke NAITO
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 第一次中東戦争の返戻便
2008-05-15 Thu 10:01
 イスラエルの建国に伴う第一次中東戦争の開戦から今日(5月15日)で60年。というわけで、昨日に引き続き、今日はこんなマテリアルを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 第一次中東戦争・返戻便

 これは、イスラエル建国前後の混乱の中で、1948年4月21日にニューヨークからエルサレム宛に差し出されたものの、配達不能で差出人戻しとなったものです。カバー上には、第一次中東戦争開戦後の5月18日の日付の印が押されていますが、エルサレム宛の郵便がストップしたのは開戦の影響によるものなのか、あるいは、それ以前から既に配達不能となっていたのか、これだけではイマイチ判然としませんが、第一次中東戦争勃発前後の混乱を物語るカバーであることには間違いありません。

 1947年11月29日、パレスチナ分割を決めた国連決議第181号が採択されて以来、パレスチナは事実上の内戦状態に突入し、多数のアラブ系住民が隣接するトランスヨルダンやシリアなどへと脱出。今日にいたるまで続く「パレスチナ難民」の問題が発生しました。

 こうしたパレスチナ難民の存在は、アラブ諸国で難民への同情を喚起し、パレスチナへの本格的な軍事介入を求める世論が形成されていくことになります。この結果、1948年1月、シリアならびにトランスヨルダンからの義勇兵がパレスチナに到着。同年2月には、エジプト、トランスヨルダン、レバノン、シリア、サウジアラビア、イラクの6ヶ国がカイロで会議を開き、パレスチナでのユダヤ人国家の建設阻止の決議を採択。義勇兵の派遣を決定します。また、パレスチナにおいても、現地のアラブ系住民からなる義勇兵組織・アラブ救世軍が編成され、アブドゥル・カーディルを中心にゲリラ戦が展開されていきました。

 これに対して、シオニストたちは、パレスチナ分割の国連決議を錦の御旗として、テルアビブにパレスチナのユダヤ人居住区を統治する臨時政府「ユダヤ国民評議会」を樹立し、新国家樹立の準備を進め、イギリスによる委任統治の期限が切れる1948年5月14日、ユダヤ人国家イスラエルの独立を宣言しました。

 一方、イスラエルの独立を認めない周辺のアラブ諸国(エジプト、トランスヨルダン、レバノン、シリア、イラク)は、即日、イスラエルに宣戦を布告。翌15日、パレスチナに出兵しました。こうして、パレスチナの内戦は、イスラエルとアラブ諸国との第一次中東戦争へと拡大することになります。

 開戦当時、アラブ側は兵員・装備ともにイスラエルを圧倒しており、緒戦の戦局はアラブ側有利で推移しました。特に、トランスヨルダンの精鋭部隊、アラブ軍団は、イラク軍とともに、エルサレム旧市街を含むヨルダン側西岸地区を占領。終戦までこの地を保持しています。また、エジプト軍は、5月15日、ガザ地区を占領し、自国領に編入しています。

 もっとも、アラブ側の優位は長くは続かず、開戦から1週間後の5月22日には、国連安保理が再びパレスチナ問題を議題として取り上げ、パレスチナ全域での軍事行動の即時停止の呼びかけを決議。これを受けて、国連の仲介により、6月11日から7月8日までの4週間にわたり、第1次休戦が両軍の間で合意されることになります。

 イスラエルが、この休戦期間を最大限に利用し、5月28日に創設されたイスラエル国防軍を中心に態勢を建て直していったのに対して、アラブ側では、休戦期間中に、各国の路線対立から指導部内の不協和音が表面化。イスラエルはアラブ側の足並みの乱れに乗じて緒戦での失地回復を目指して攻勢を展開し、次第に戦況は逆転していくことになります。

 結局、イスラエルが華々しい戦果を挙げ、イギリス委任統治時代の旧パレスチナの領域を越えてシナイ半島に進攻したことで、エジプトを事実上の支配下に置いていたイギリスがイスラエル軍にシナイ半島からの撤収を強く要求。これをうけて、1949年2月23日、イスラエルとエジプトの間で休戦条約が調印されたのを皮切りに、3月23日にはレバノンが、4月3日にはトランスヨルダンが、7月20日にはシリアが、それぞれ、休戦条約を調印。これら各国とイスラエルとの停戦ラインが事実上の“国境”となり、イスラエル国家の存在が認知されることになりました。

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