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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 大統領になりそこなった男たち:アレクサンダー・ハミルトン
2008-07-11 Fri 10:38
 雑誌『中央公論』8月号が発売になりました。僕の連載「大統領になりそこなった男たち」では、今回は、アメリカの10ドル紙幣にも取り上げられている初代財務長官、アレクサンダー・ハミルトンを取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

 ハミルトン

 アレクサンダー・ハミルトンは、1755年1月、英領西インド諸島のネイビス島で生まれました。

 父親のジェイムズは、14世紀にまでさかのぼることができるスコットランドの名門の出身でしたが、4男だったため家の財産を相続することはできず、西インド諸島で砂糖や農業用品の売買に手を出したものの、典型的な“士族の商法”でことごとく失敗し、アレクサンダーが生まれた時には落魄の身でした。

 一方、母親のレイチェルは、ネイビス島で小さな砂糖農園を営む家に生まれました。16歳の時、彼女の財産目当てに近づいてきたデンマーク人商人のヨハン・ラビーンと結婚しましたが、夫が自分の財産を食いつぶしていくだけなのに耐え切れなくなって、夫の元から出奔。しかし、“金づる”を失うことを恐れたラビーンは離婚を承諾せず、彼女はセントキッツ島(セントクリストファー島)へと逃れ、この地で知り合ったジェイムズと暮らし始めるようになります。ただし、正式な離婚は成立していないので、二人は内縁関係ということになります。

 こうしたことから、“私生児”として生まれたハミルトンは、青年時代まで非常に苦労を重ね、1773年にニューヨークのキングズ・カレッジ(現在のコロンビア大学)に入学。在学中に独立戦争がはじまったことから、これに参加して頭角を現し、総司令官のジョージ・ワシントンの副官を務め、各ステイツの寄り合い所帯でしかなかった北米植民地を統一国家としてまとめあげるため、1787年にフィラデルフィアで憲法起草会議を開催することを提案。憲法の草案を実質的にまとめあげ、1789年にワシントン政権が発足すると、34歳の若さで初代財務長官となり、税関や連邦中央銀行、造幣局の創設などを主導してアメリカ資本主義の基礎を築きました。

 ワシントン政権の政策実務を実質的に一人で取り仕切っていた彼は、いずれは大統領になりたいという野心を抱いていましたが、1796年にワシントンが引退した時点では、61歳だった副大統領のジョン・アダムズや53歳だった元国務長官のトーマス・ジェファーソンに比べて、41歳と若すぎたことや、カリブ海の島国で“私生児”(両親は正式な結婚ができなかった)として生まれたという出自の問題、さらにはハミルトンの剛腕に対して反感を持つ者が多かったことなどから、彼を大統領として擁立しようという雰囲気は、ついに、大きな動きとはなりませんでした。

 第2代大統領に当選したアダムズは、ハミルトンに政府を牛耳られることを嫌い、彼を遠ざけましたが、閣僚たちはハミルトンの影響を受けた者が多数派を占めていました。1797年には、マリア・レイノルズという人妻との不倫関係や彼女の夫、ジェイムズに強請られていたスキャンダルが持ち上がりますが、これはハミルトンの名声にとって必ずしも致命的な打撃とはなりませんでした。
 
 しかし、1799年、長年の庇護者であったワシントンが亡くなり、1801年、長年対立してきたジェファーソンが大統領に就任すると、ハミルトンの政治的な影響力は急速に減退。1804年のニューヨーク州知事選を前に、地元メディアが選挙に立候補した副大統領のアーロン・バーとハミルトンの対立を面白おかしく煽ったことで、名誉を傷つけられたと感じたバーと決闘するはめになり、同年7月11日(ちょうど今日が命日ですな)、バーの銃弾に斃れてしまいます。享年49歳。

 その墓碑銘には「アメリカ国家を創った人物 アレクサンダー・ハミルトン、ここに眠る」と刻まれています。

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