内藤陽介 Yosuke NAITO
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 試験問題の解説(2008年7月)-3
2008-08-03 Sun 09:43
 昨日に引き続き、都内の某大学でやっている『タイ三都周郵記』をテキストにした授業の試験問題の解説です。今日は、「この切手(画像はクリックで拡大されます)とに描かれているものについて説明せよ」という問題を取り上げてみましょう。

 ガルーダ

 これは、1925年に発行されたタイ最初の航空切手の1枚で、ガルーダが描かれています。

 ガルーダは頭・翼・爪・口は鷲、胴・腕・脚は人間の半鳥半人の半神。もともとはインド神話に登場する想像上の動物ですが、仏教・イスラム伝来以前よりヒンドゥー教圏であった東南アジア諸国で、他のヒンドゥー教の神々と併せて取り上げられています。

 インドの『マハーバーラタ』によると、造物主であるプラジャーパティにはヴィナターとカドゥルーという2人の娘がいました。あるとき、2人は賭けをしましたが、カドゥルーがいかさまで勝ち、ヴィナターを奴隷にしてしまいます。

 その後、ヴィナターの産んだ卵から、ガルーダが生まれました。ガルーダは生まれたときから天をつくほどに巨大で、稲妻のような瞬きをし、大山も風神とともに逃げるほどに羽ばたき、口から吐く光は四方に広がって火事のようであったため、神々は驚いて火の神と崇めたといわれています。

 母親がいかさまによって奴隷となったことを知ったガルーダは、母親を解放するための条件として要求された聖水を得るため、天上界に乗り込みます。ガルーダは天上界の神々を次々に打ち破り、聖水を奪って飛び去ります。その勇気と力に感動したヴィシュヌ神は、ガルーダに不死の命を与え、ガルーダはそれを受けてヴィシュヌの乗り物(ヴァーハナ)となりました。ガルーダがタイでは国王の御座船の舳先の飾りとなっていたり、インドネシアでは航空会社のシンボルになっていたりするのは、このためです。ここで取り上げている航空切手のモチーフに使われているのも、同様の理由と考えてよいでしょう。

 その後、ガルーダは聖水を追ってきた最強の神、インドラをも打ち破り、インドラとは永遠の友情を誓うようになります。そして、聖水を地上に持ち帰り、母親を無事に解放しました。一方、聖水がガルーダの手を離れたことを確認したインドラは、聖水を奪還しています。

 試験の答案としては、『マハーバーラタ』の詳細な内容を記す必要はありませんが、ガルーダがインド起源の半神であることや、なぜ、タイの国章や国王の御座船に用いられていることの意味などについては、きちんと説明をしてもらう必要があります。

 トーク・イベントのご案内
 本日(3日)14:30から、東京・大手町のていぱーくで開催のサマーペックス会場内にて、拙著『韓国現代史:切手でたどる60年』の刊行を記念したトーク・イベントを行います。内容は、韓国切手に見る日本時代の“遺産”についての話題を中心に、お話しする予定です。サマーペックスのHPにアクセスしていただくと、無料の招待チケットをプリントアウトしていただくことができます。当日は、会場ならではの特典もご用意しておりますので、よろしかったら、ぜひ、遊びに来てください。

 * 昨日のトークは、無事、盛況のうちに終了いたしました。遊びに来ていただいた皆様には、この場をお借りしてお礼申し上げます。

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