内藤陽介 Yosuke NAITO
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 試験問題の解説(2008年7月)-4
2008-08-04 Mon 10:12
  昨日に引き続き、都内の某大学でやっている『タイ三都周郵記』をテキストにした「宗教学」の試験問題の解説です。今日は、「この切手(画像はクリックで拡大されます)に描かれている寺院について、右側の人物との関係にも触れつつ説明せよ」という問題を取り上げてみましょう。

 パラマチーヌチット・チノーロット生誕200年

 これは、1990年に発行されたパラマチーヌチット・チノーロット生誕200年の記念切手で、背後には彼のゆかりの寺として、バンコクのワット・ポーが描かれています。

 巨大な涅槃仏(寝釈迦)で有名なワット・ポーは、バンコクの王宮の南側に隣接する場所にあります。アユタヤ時代に建立された古刹で、王立寺院に序せられたのはトンブリー王朝時代のことですが、現在の建物の多くと涅槃仏は、この寺の住職であったパラマチーヌチット・チノーロットに篤く帰依したラーマ三世の時代のものです。

 パラマチーヌチット・チノーロットは、ラーマ1世の王子として1790年に生まれましたが、12歳のときにワット・ポーの沙弥(見習い僧)となり、以後、この寺で一生を過ごしました。パーリ語に堪能な詩人としても多くの作品を残しており、僧として最高位の大僧正になっています。

 かつてのワット・ポーは仏教の教学はもちろん、パーリ語やタイ式医学、薬草学、占星術、美術、詩文などを教授する学問所でもありました。現在でも、タイ式マッサージの教習所が境内にあるのはその名残です。パラマチーヌチット・チノーロットは、そうした学問の府を代表する碩学でした。

 切手に取り上げられているのは、この寺の本堂にあたる布薩堂で、高さ4メートルの本尊が安置されています。なお、ワット・ポーの名を有名にしているのは境内の北西部にある巨大な涅槃仏ですが、こちらは、長さ46メートル、高さ15メートルの巨大なもので、足の裏には、指に指紋に模した法輪が2つずつ計20点、踵から指の付け根までの部分に仏教における吉祥の図案108点の螺鈿細工が施されています。

 試験の解答としては、切手の寺がワット・ポーであることを明らかにした上で、ワット・ポーが学問所に役割を果たしていたこと、ならびに、その代表的な碩学としてのパラマチーヌチット・チノーロットのことを説明できているかどうかがポイントになります。もちろん、布薩堂や涅槃仏のことについて書いてあれば、それも加点要因とします。

 さて、『タイ三都周郵記』をテキストにした「宗教学」の試験問題としては、いままで取り上げてきたもののほか、「アユタヤのワット・ヤイ・チャイ・モンコンについて説明せよ」というものもあるのですが、こちらは切手とは無関係に容易に調べられる内容のものですので、解説は省略します。明日からは、引き続き、「中東郵便学」の試験問題のうち、切手にかかわるものを取り上げることにします。

 * きのう・おととい(8月2・3日)のトークイベントは、無事、盛況のうちに終了いたしました。ご参加いただきました皆様には、あらためて、この場を書利してお礼申し上げます。

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