内藤陽介 Yosuke NAITO
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 続・レスリング切手
2008-08-20 Wed 10:19
 昨日の北京のメダルは、レスリングの男子フリースタイル55キロ級の松永共広が銀、同60キロ級の湯元健一が銅メダルという結果でした。というわけで、メダル獲得競技シリーズの第8弾は、2度目のレスリング切手です。(画像はクリックで拡大されます)

 東京五輪募金(レスリング)

 これは、1961年10月11日、東京オリンピックの資金を集めるための寄付金つき切手(第1次)の1枚として発行されたレスリングの切手です。

 1959年、ミュンヘンで開かれたIOC(国際オリンピック委員会)総会で、1964年に開催されるオリンピック夏季大会を東京で開催することが正式に決定されましたが、多くの国民の間では、当時の日本の経済力では、オリンピックの開催に必要な経費をまかなうことは相当に難しいのではないか、との懸念が強くありました。

 はたして、政府はこの大会を成功させるために担当大臣のポストをつくって準備を進め、国立競技場、武道館、駒沢競技場、国立室内競技場などを建設しましたが、その総工費だけで160億円がかかっており、施設の整備や運営資金については、民間から資金を調達する必要があるのは明らかでした。

 このため、(財)東京オリンピック資金財団(以下、資金財団)が設立され、資金調達のための各種の活動が本格的に行われています。当初、資金財団の計画では、記念切手、記念葉書、電話番号簿(電話帳)広告、タバコ、国鉄(現JR)の広告などが資金調達のための手段として考えられていました。

 このうち、記念切手に関しては、1961年2月に資金財団と郵政省の間で具体的な討議が始まりましたが、その際、最大の論点となったのが、オリンピックの寄附金を調達するために独自の切手・葉書を発行するのか、あるいは、年賀葉書の寄附金をオリンピック資金に充てるのか、という点でした。

 結局、年賀葉書の寄附金については、当時、「お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金の処理に関する法律」(昭和24年法律第224号)の第5条が「社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体、風水害、震災等非常災害による被災者の救助を行う団体、がん、結核、小児まひその他特殊な疾病の学術的研究及び治療を行う団体又は原子爆弾の被爆者に対する治療その他援助を行う団体の当該事業の実施に必要な費用に充てることを寄附目的とするものでなければならない」と定められていたため、別途、6月15日に「オリンピック東京大会の準備等に必要な特別措置に関する法律(以下、五輪準備特措法)」が公布・施行され、寄附金つき切手の発行も同法によって処理されることになりました。

 こうして、1961年10月11日に発行の第1次寄附金つき切手が発行されたわけですが、当初はその題材として、柔道も候補に挙がっていました。しかし、同年6月に切手デザインの制作作業が行われていた時点では柔道がオリンピックの正式種目として採用されるかどうか不透明だったため、見送りになったことは以前の記事でもご紹介したとおりです。

 まぁ、最初の寄附金つき切手に柔道が取り上げられていたら、格闘技が重なるという理由でレスリングは第2次以降に回ったのかもしれません。しかし、レスリングだって、1952年のヘルシンキ大会以来、日本不参加のモスクワ大会(1980年)を除いて半世紀以上もメダルを取り続けている(今回の切手が発行された時点でも3大会連続のメダル競技ということになりますな)お家芸ですから、寄附金つき切手のトップを飾るのにふさわしい題材だったと思います。

 なお、今回の切手を含む一連の東京オリンピックの寄附金つき切手と、この寄附金つき切手が火付け役となった切手ブームについては、拙著『切手バブルの時代』でも詳しく取り上げておりますので、機会がありましたら、ご一読いただけると幸いです。(アマゾンでは古書として高値が付いていますが、発売元にはまだ在庫がありますので、定価でお求めになれます)

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