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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 虎が煙草を吸っていた頃
2008-09-03 Wed 10:42
 元KGBのロシアのプーチン首相が、野生のシベリアン・タイガー(別名、アムールトラ、チョウセントラ)を視察中、同行していたTVスタッフに襲いかかってきたトラを麻酔銃で撃退したのだそうです。というわけで、清正ならぬプーチンの虎退治にちなんで、きょうはこんな1枚を持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

 韓国・民画の虎

 これは、1983年に韓国が発行した5000ウォンの通常切手で、民画の虎がとりあげられています。

 朝鮮の建国神話には、虎と熊が人間になることを願っていたものの、天帝の息子・桓雄の教えを守った熊が人間の女性の身体を得たのに対して、教えを守れなかった虎は人間になれなかったという物語があります。ちなみに、このとき人間の女性となった熊が桓雄と交わって生まれたのが朝鮮民族の始祖とされる檀君ということになっています。ただし、1988年のソウル五輪の際には、熊ではなく、“ホドリ”(虎の子)がマスコットのキャラクターに取り上げられています。まぁ、熊よりは虎の方が強さと敏捷性という点で、スポーツ向きのイメージがありますが…。

 さて、朝鮮では、日本語でいう神代の昔に相当する言い回しとして、「虎が煙草を吸っていた頃」というのがありますが、コロンブスが新大陸発見と同時に喫煙の習慣をヨーロッパにもたらしたのは1492年のことですから、それが朝鮮に伝わったのは、どんなに早くても16世紀以降ということになります。ということは、仮に朝鮮で虎がたばこを吸うとしても16世紀以降のことになるわけで、「虎が煙草を吸っていた頃」を歴史以前の大昔とするなら、李氏朝鮮以前には朝鮮には語るべき歴史は存在しなかったということになってしまいます。

 ところが、実際には李氏朝鮮以前にも高麗や新羅などの王朝が存在していたことは厳然たる事実です。また、朝鮮には檀君の即位から起算した檀紀というのがあって、これは西暦に2333年を加算するということになっています。彼らがしばしば“韓国5000年”を強調するのは、これが根拠となっているわけですが、当然のことながら、この時代には朝鮮には喫煙の習慣はありませんので、妙な話になってしまいます。

 まぁ、神話の類にいらぬ突っ込みを入れるのは無粋なことだと重々承知しているのですが、それでは「虎が煙草を吸っていた頃」という表現が実際にはいつ頃から広く使われるようになったのか、僕としてはそちらの方がちょっと気になるところです。

 なお、5000ウォンという、1983年当時としては超高額の切手が発行されたのは、オリンピックの開催決定を受けて、韓国経済が空前の好況を呈していたという背景があったわけですが、その辺の話については、拙著『韓国現代史:切手でたどる60年』をご覧いただけると幸いです。

 * 今朝、カウンターが39万PVを越えました。いつも遊びに来ていただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。

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