内藤陽介 Yosuke NAITO
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 チェコ軍団のカバー
2008-10-28 Tue 18:44
 1918年10月28日にチェコスロバキアが独立を宣言してから、きょうで90周年です。というわけで、今日はこんなモノをもってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 チェコ軍団

 これは、1919年、シベリア出兵に参加したチェコ軍団の兵士が差し出したカバーです。

 第1次大戦以前、チェコはオーストリアの支配下にあり、チェコ人将兵はオーストリア軍の一員として大戦に参加し、帝政ロシア軍と戦っていました。しかし、もともとオーストリアからの独立を強く望んでいたチェコ人たちは、ヨーロッパ諸民族とドイツ人との戦いとしての第1次大戦を、民族独立のための好機とみなすようになり、“敵の敵”であるロシアに投降する者が後を絶ちませんでした。

 このため、ロシア側は、こうしたチェコ人たちを募ってオーストリア軍と戦うためのチェコ軍団を組織すします。その規模は、1918年の時点で、およそ15万人でした。当然のことながら、チェコ軍団は反ドイツ・オーストリア感情がきわめて強く、それゆえ、帝政ロシアを打倒してドイツ・オーストリアと単独講和を結んだボルシェビキ政権はドイツの手先であると考えていました。

 こうした状況の中で、1918年4月、シベリア経由でヨーロッパ戦線に向かおう途中のチェコ軍団のメンバーが、移送中のドイツ・オーストリア軍の捕虜と小競り合いを起こしたのをきっかけに、チェコ軍団による反乱が勃発。チェコ軍団はシベリア鉄道に沿って、当時、無政府状態になっていたサマラ=イルクーツク間の地域を占拠しました。

 これに対して、ボルシェビキ政権は連合国に対してチェコ軍団の武装解除を要求したが、連合国側はこれを拒否。逆に、「チェコ軍団がシベリア各地で殲滅されかかっている」として、チェコ軍団救出を大義名分として、ボルシェビキ政権に対する干渉出兵を行うこととします。ボルシェビキ政権を打倒し、連合国に立って戦うロシア政府を樹立することによって、東部戦線にドイツ軍を釘付けにするためでした。これが、列強諸国によるシベリア出兵の基本的な構図です。

 さて、今回ご紹介のカバーは、1919年にチェコ軍団参加の兵士が差し出したもので、軍団関係の郵便に貼付するために発行された切手が貼られています。そのデザインは、“ボヘミアのライオン”の紋章の周囲に軍隊を示す各種の武器を散りばめたもので、“シベリア・チェコスロバキア軍郵便(POSTA CESKOSLIVENSKE ARMADY SIBIRSKE)”の文字と発行年を示す“1919”の表示があります。切手の発行当時、すでに、大戦は終結してオーストリア・ハンガリー二重帝国は崩壊しており、チェコはスロバキアとともにチェコスロバキアとして独立していました。

 また、カバーには、切手と同様に“シベリア・チェコスロバキア軍郵便”の文字と1919の年号の入った印と、“軍事郵便(POSTE MILITARE)”の表示のある印の二種類が押されていますが、いずれも、差出地名や日付の表示はありません。おそらく、ハルビンに置かれていたチェコ軍の司令部を経由して本国まで届けられたものと考えられます。

 ハルビンといえば、今週土曜日(11月1日)から東京・池袋のサンシャイン文化会館で開催の<JAPEX>では、“満洲・東北切手展“と題して、清朝から中華人民共和国にいたるまでの満洲・東北地域の切手・郵便史の網羅的な展示を行います。リニューアルされた旧水原コレクションをはじめ、日本国内はもとより、台湾・香港から超一流のコレクションが一堂に会する滅多にない機会ですので、ぜひ、遊びに来てください。(上の青い文字をクリックすると主催者HPに飛びます)

 イベントのご案内

 11月1日(土)-3日(月・祝) 全国切手展<JAPEX>

 ことしも、東京・池袋のサンシャインシティ文化会館と目白の切手の博物館の2ヶ所で開催します。今年の目玉は、何といっても“満洲・東北切手展”ですが、トーク関係での僕の出番は、以下のとおりです。

 11月1日(土)
  13:00 “満洲・東北切手展”特別シンポジウム(池袋会場)
  16:00 特別対談「満洲における写真、絵葉書、郵趣」(池袋会場)
 11月2日(日)
  13:00 “戦後日本切手展”ギャラリー・トーク(目白会場)
  15:00 中公新書ラクレ presents 『大統領になりそこなった男たち』刊行記念トーク(池袋会場)
 11月3日(月・祝)
  11:00 “戦後日本切手展”ギャラリー・トーク(目白会場)

 トークそのものの参加費は無料ですが、<JAPEX>への入場料として、両会場共通・3日間有効のチケット(500円)が必要となります。あしからずご了承ください。皆様のお越しを心よりお待ち申しております。


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