2008-11-22 Sat 10:23
きょう・あす(22・23日)は、大阪の少彦名神社の神農祭です。というわけで、きょうはこの切手をもってきました。(画像はクリックで拡大されます)
![]() これは、1985年12月2日に発行された1986年用の年賀切手で、“神農の虎”が取り上げられています。 神農は古代中国の伝説に登場する紀元前2740年頃の皇帝です。その体は、脳と四肢以外は透明で内臓が外からはっきりと見えたため、みずから百草を嘗めて内臓の変化を観察し、それにより毒の有無および影響を与える部位を見極めたといわれています。そして、あまりに多くの毒草を服用したために、体に毒素が溜まり、120歳で亡くなったとされています。 こうしたことから、中国では“神農大帝”の名で医薬と農業を司る神として祀られていますが、わが国でも、大阪市中央区の少彦名神社には、記紀神話の医薬・禁厭(呪術)の神とされる少彦名命とともに祭神として祀られています。 少彦名神社は、1780年10月、薬種中買仲間の団体組織である伊勢講が、薬の安全、薬業の繁栄を願うために、京都の五條天神宮(現・五條天神社)から少名彦命の分霊を道修町にあった仲間会所に勧請し、すでに仲間会所に祀ってあった神農氏(神農とその一族)とともに祀ったのがルーツです。このため、地元では、“神農さん”の愛称でも親しまれています。 1822年、関西を中心に“三日ころり(コレラ)”が猛威を振るった時、道修町の薬種仲間は虎の頭の骨を調合して“虎頭殺鬼雄黄円”という名の特効薬を作り上げるとともに、疫病除けの祈願をこめて笹の枝につるした張子の虎を“神農さん”に奉納。悪病退散を果たしました。 これにちなみ、霊験あらたかな張子の虎が“神農の虎”と呼ばれるようになり、無病息災のお守りとして、毎年11月22-23日に少彦名神社で行われる神農祭から新しいものが頒布されるようになったそうです。その意味では、切手に取り上げられた張り子の虎は、新年よりも、年末の題材というイメージが強いのかもしれませんね。 なお、切手が発行された1985年は、プロ野球の阪神タイガースが20年ぶり(だったと思いますが、間違ってたらすみません)に日本一になった年で、全国的に虎フィーバーが吹き荒れた年でした。そのため、翌年の干支ととも重なって、年末には“神農の虎”の人気が例年に倍する状況だったとか。来年はそれから干支がふた回りした丑年ですが、またしても、阪神が優勝してトラ吉の皆さんがニッコリ笑って寅年を迎えることができるかどうかは、神のみぞ知るというところでしょうか。 さて、 <解説・戦後記念切手>シリーズの別冊として、今年12月に刊行予定の拙著『年賀切手』ですが、現在、メインの原稿はすべて出来上がっており、鋭意、制作作業中です。まもなく、このブログでも詳細をご案内いたしますので、今しばらくお待ちください。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ アメリカ史に燦然と輝く偉大な「敗者たち」の物語 『大統領になりそこなった男たち』 中公新書ラクレ(本体定価760円+税) 出馬しなかった「合衆国生みの親」、リンカーンに敗れた男、第二次世界大戦の英雄、兄と同じく銃弾に倒れた男……。ひとりのアメリカ大統領が誕生するまでには、落選者の累々たる屍が築かれる。そのなかから、切手に描かれて、アメリカ史の教科書に載るほどの功績をあげた8人を選び、彼らの生涯を追った「偉大な敗者たち」の物語。本書は、敗者の側からみることで、もう一つのアメリカの姿を明らかにした、異色の歴史ノンフィクション。好評発売中! もう一度切手を集めてみたくなったら 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 スポンサーサイト
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