内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界漫遊記:シギショアラ(後篇)
2009-01-27 Tue 13:39
 『キュリオマガジン』の2009年2月号が出来上がりました。僕の連載「郵便学者の世界漫遊記」は、前回につづき、ドラキュラのモデルとされるヴラド・ツェペシュの生まれ故郷・シギショアラを取り上げています。その記事のなかから、今日は、こんなモノをもってきてみました。(以下、画像はクリックで拡大されます)

 ヘルマン・オベルト

 これは、2007年にルーマニアで発行された“ルーマニアで活躍したドイツ人”の3種セットのうち、ヘルマン・オベルトを取り上げた1枚です。

 オベルトは1894年6月25日、当時はオーストリア・ハンガリー支配下にあったシギショアラ近郊のメディアスで生まれ、少年時代をシギショアラで過ごしました。11歳の頃、ジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』と『月世界へ行く』を読んで大いに感銘を受け、14歳の時には宇宙ロケットの模型を作り、独自に多段式ロケットを着想したそうです。

 1912年、医学を学ぶためにミュンヘン大学に進学しましたが、第一次大戦にぶつかり、東部戦線に送られます。1915年、彼は軍医としてシギショアラの病院勤務となりましたが、軍務のかたわら、無重力状態に関する実験を行うとともに、ロケット研究を再開。独自のミサイル構想を軍部に提案しています。

 第一次大戦後の1919年、オベルトはドイツに戻って物理学を学び直し、1922年にはロケット科学に関する博士論文を提出しましたが、内容が空想的として退けられてしまいます。当時の技術では、オベルトの理論はとても実現できないと考えられていたため、アカデミックな世界では彼の議論はほとんど無視されてしまうのですが、1928~29年にはベルリンで映画『月の女』に登場するロケットについての技術顧問に就任。この映画によって、ロケット科学の考え方は一般に広まり、オベルトも映画のプロモーション活動の一環として小型のロケットを作り、打ち上げています。そして、これを機に、オベルトの研究は一躍脚光を浴びるようになりました。

 第二次大戦中、オベルトはドイツ軍のためのロケット開発に尽力しましたが、戦後はその技術力が評価されてアメリカに渡り、1962年に引退するまで研究活動を続け、アポロ計画の礎を築きました。

 前回のシギショアラ(前篇)で取り上げた時計塔の内部は歴史博物館になっており、古代の生活用品、ルネサンス時代の家具、17世紀のガラス、18世紀の手術道具などとならんで、“ロケットの父”であるオベルトのコーナーもあります。また、街の中心部には“地元の名士”オベルトの名を冠したヘルマン・オベルト広場もあり(下の画像、左は1905年の絵葉書、右は2008年の撮影です)、オベルトはドラキュラ同様、シギショアラの街にとって重要な人物であることがわかります。

 オベルト広場(1905)   オベルト広場(現在)

 今回の記事では、そんなオベルトを狂言回しとして、シギショアラの旧市街の歴史散歩をまとめてみました。機会がありましたら、ぜひ、ご一読いただけると幸いです。


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