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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 開港150年
2009-06-02 Tue 16:23
 きょうは、安政6年6月2日(1859年7月1日)、いわゆる“安政の5ヵ国条約”の締結により、横浜港・長崎港が開港したことにちなんで、横浜・長崎・函館の開港記念日です。というわけで、ストレートにこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 開港100年

 これは、1958年5月10日に発行された“日本開国100年”の記念切手です。切手の発行日は、安政の5ヵ国条約の調印から100周年を記念して、横浜公園市民球場に皇太子を迎えて開港100年記念式典が行われた日付で、条約や開港の歴史的な日付とは直接の関係はありません。

 開港を機に、それまでのひなびた一漁村から、いちやく、西洋文明の窓口となり、大都市へと発展を遂げた横浜市は、1958年、開港の根拠となった安政条約の締結から百周年を迎えたのを機に、“開港百年”の各種記念イベントを計画します。その一環として、1957年11月21日、横浜市長・平沼亮三は、東京郵政局を通じて郵政大臣・田中角栄に“横浜開港百年”の記念切手発行を申請しました。

 横浜が記念切手発行の申請を行ったのを受けて、横浜と同時に開港地となった函館も、市長・長吉谷一次の名で、12月16日、札幌郵政局を通じて、郵政大臣宛に“函館開港百年”の記念切手発行を申請。これに対して、おなじく1859年に開港地となった長崎は記念切手発行を申請しませんでした。

 こうした状況を踏まえ、1958年の切手発行計画を策定するにあたっては、横浜・函館・長崎の三港を一括して“日本開港百年”の記念切手を発行することが決定されます。なお、この段階では、和暦での日米通商修好条約の調印日である6月19日を、そのまま西暦に置き換えて記念切手を発行するというプランが立てられていました。

 しかし、年が明けた1958年1月28日、横浜市長の平沼が、“横浜開港百年祭実行委員長”の肩書で、記念切手の発行日を、記念式典が行われる5月10日として欲しいとの要望を郵政省に提出します。この要望を受け入れるかたちで、記念切手の発行日は、当初予定の6月19日から5月10日に変更されたというわけです。

 切手のデザインは、当時、横浜在住だった木村勝が、1958年1月24日、市の担当者や横浜中郵便局長らとともに、野毛山地区の横浜市中央図書館の史料室で条約調印時の資料を調査した後、山下公園前のニューグランドホテルの屋上と東洋信号通信社の展望台(港の見える丘公園脇の港内信号塔のことか?)から港の風景を取材したほか、三渓園、掃部山公園などで取材して作成しました。

 切手に取り上げられているポーハタン号は、1854年、ペリーが二度目に来航した際、山本啓介(日本側全権の一人、井戸対馬守覚弘の組同心の一人)が写生した「赤筋ポーハタン号」をもとに描いたもので、1928年に横浜市が発行した『開港七十年記念横浜資料』に掲載の図版が資料として用いられました。

 また、中央の井伊大老銅像は、横浜開港50年にあたる1909年7月、旧彦根藩有志が、井伊の開港の功績を顕彰するため、鉄道用地として“鉄道山”と呼ばれていた戸部の丘に建立したもので、掃部山の地名もそのときに命名されました。当時の銅像は藤田文蔵と岡崎雪声によって製作され、その姿は「正四位上左近衛権中将」の正装で、高さは約3.6メートルありましたが、太平洋戦争中の1943年、金属回収で撤去されてしまいました。現在の銅像は、1954年、横浜市の依頼により、慶寺丹長が制作したものです。

 これに対して、切手左側に描かれている“現代の港湾風景”に関しては、当時、住友商事で技師を務めていた小松昌夫は、『切手』紙上において、①切手上に描かれているタワークレーンは主として造船所で用いられるもので港湾荷役用には用いられない、②港内に造船所がある可能性は否定できないが、通常に考えられている“港の風景”としては不自然である、③タワークレーンは、戦前、鉄板を鋲打して船を造っていた時代に船台の側で使われていたもので、戦後、溶接構造の船が造られるようになってからは造船所では用いられていない、といった点を指摘しています。したがって、こちらは、現実の風景を写生したものではなく、イメージとして木村が創作したものと考えるのが妥当なようです。

 なお、幕末から明治初期にかけての開港地には、イギリス・フランス・アメリカの郵便局が設けられていました。このうち、横浜のイギリス局フランス局から差し建てられたカバーについては、拙著『香港歴史漫郵記』でも取り上げてみたことがありますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。


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