内藤陽介 Yosuke NAITO
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 地獄の釜のフタ
2009-07-16 Thu 23:48
 きょう(7月16日)は半年に一度の“閻魔斎日”。地獄の釜の蓋が開いて閻魔大王も地獄の鬼もお休みになる日で、そこから、かつての“藪入り”の習慣が生まれました。というわけで、なにか地獄にちなむ切手がないかと思って探してみたら、仏教系ではありませんが、こんなモノが出てきました。(画像はクリックで拡大されます)

 ダンテ700年

 これは、1965年にヴァティカンが発行した“ダンテ生誕700年”の記念切手の1枚で、彼の代表作『神曲』の「地獄篇」冒頭で、地獄の入口で3匹の獣に遭遇する場面が描かれています。

 ダンテの『神曲』は、西暦1300年の聖金曜日(復活祭前の金曜日)、暗い森の中に迷い込んだ主人公が、そこで出会った古代ローマの詩人ウェルギリウスに導かれ、地獄・煉獄・天国と彼岸の国を遍歴して回る叙事詩です。

 「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」と銘された地獄の門を抜けると、地獄の前庭があり、そこには、人生を無為に生きてきた者たちが、地獄にも天国にも入ることを許されず、蚊や蜂に刺されながら留め置かれています。(全くの余談ですが、きょう、暑さのせいにしてあまり仕事をせず、無為に過ごしてしまった内藤は、風呂上りに蚊に刺されてしまいました。)

 その先には、仏教の世界でいう“三途の川”に相当するのでしょうか、アケローン川が流れており、冥府の渡し守カロンの舟で地獄に渡ることになっています。

 地獄の最初には、キリスト教の洗礼を受けなかった者が入る辺獄(リンボ)があり、そこでは、亡者たちは責め苦はないものの、希望もないままに永遠の時を過ごします。なお、ホメロスをはじめとする古代の大詩人たちも、キリスト以前に生れたため、キリスト教の恩寵を受けることがないという理由で、ここに置かれています。

 その後、愛欲者の地獄、貪欲者の地獄など、第9圏まである地獄の中から、亡者は冥府の裁判官ミーノスによって割り当てられた地獄に行き、責め苦を受けることになっているのだそうです。これもまた、閻魔大王の裁きと似たようなものでしょうから、人間の考えることなんて、結局は似たようなものなのかもしれませんな。

 それにしても、きょうも暑かったですね。地獄の釜のフタが本当に開いて、その熱気が地上までやってきたといわれても信じてしまいそうです。明日には地獄の釜のフタも閉じるはずなので、少しは涼しくなってもらわないと…。

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