内藤陽介 Yosuke NAITO
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 独ソ不可侵条約70年
2009-08-23 Sun 13:32
 「欧州情勢は複雑怪奇」として日本の内閣総辞職の原因ともなった独ソ不可侵が1939年8月23日に調印されてから、きょうでちょうど70年です。というわけで、今日はこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 チェルナウツィ(ソ連占領下)

 これは、第二次大戦中、ソ連占領下の北ブコヴィナ・チェルナウツィ(現ウクライナ領)からヴィシー政権下のフランス・トールゥーズ宛てに差し出された葉書で、途中でナチス・ドイツの検閲を受けたことを示す印も押されています。

 独ソ不可侵条約は、それまで共産主義撲滅を叫んでいたナチス・ドイツとソ連が結託したという点でも当時の国際社会に衝撃を与えました。また、条約と合せて締結された秘密議定書において、バルト三国、ルーマニア東部のベッサラビア、フィンランドがソ連の勢力圏とされ、独ソ両国はカーゾン線におけるポーランドの分割占領に合意。これを受けて、ドイツは同年9月1日、ソ連は9月17日にポーランドに侵攻、東西から分割占領し、第二次世界大戦が勃発することになりました。

 さて、第二次大戦の勃発後、ドイツ軍はヨーロッパ大陸を席巻し、1940年6月23日、フランスが降伏。ルーマニアの後ろ盾となっていたフランスの敗北を受けて、ソ連は独ソ不可侵条約の密約に基き、ルーマニア領ベッサラビアを併合するとともに、突如、ブコヴィナの割譲も要求します。

 ブコヴィナというのはカルパティア山脈とドニエストル川に挟まれた地帯一帯のことで、歴史的にはオスマン帝国やハプスブルク帝国の支配下に置かれていたこともありましたが、帝政ロシアの時代にもロシア領となったことはなく、1918年以降、その全域はルーマニア領となっていました。

 このため、ソ連によるブコヴィナ併合の要求は何ら合理的な根拠はなく、また、独ソ間の密約の範囲も超えていたため、ドイツもこれに抗議しました。しかし、結局、ブコヴィナ地方のうちウクライナ系住民の多い北ブコヴィナのみをソ連に割譲することで独ソの妥協が成立。6月26日、ソ連から24時間の時限つきで最後通牒を突きつけられたルーマニアも、翌27日、これを受け入れ、28日にはソ連軍が北ブコヴィナに進駐しました。そして、8月2日、ソ連は北ブコヴィナを南部ベッサラビアと合わせて、連邦を構成するウクライナに割譲。このときひかれた境界線が現在のルーマニアとウクライナとの国境となります。今回ご紹介の葉書も、こうした状況下で差し出されたものです。

 その後、1941年6月に独ソ戦が勃発すると、ルーマニアはベッサラビアと北ブコヴィナの失地を回復するためにドイツ側に立って参戦し、一時は北ブコヴィナを回復しました。しかし、スターリングラードの戦い以降、独ソ戦の戦局は急速にドイツ不利に傾いていくと、ルーマニア国内では1944年8月23日、クーデターが発生し親独派政権は崩壊。新政権はドイツに対して宣戦を布告し、同年9月には連合諸国との休戦協定を調印しました。その結果、ルーマニアは1940年6月の国境を受け入れ、北ブコヴィナはルーマニアから切り離され、ソ連領に編入されることになります。そして、1991年のソ連崩壊により、両者の境界線がルーマニアとウクライナの国境に受け継がれているというわけです。

 さて、今年はチャウシェスクの処刑で全世界に衝撃を与えたルーマニアの民主革命から20周年にあたります。これにあわせて、現在、11月にルーマニアがらみの本を刊行すべく準備を進めているところです。当然のことながら、今回ご紹介したようなマテリアルも取り上げていくことになるでしょう。正式タイトルや内容の詳細などが決まりましたら、逐次、このブログでもご案内してまいりますので、どうかよろしくお付き合いください。

 *きょうのお昼過ぎにカウンターが57万PVを超えました。いつも遊びに来ていただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。


 「タイ」フォーラム <タイの魅力-タイは私をなぜ虜にしたのか?>のご案内

 9月4日(金)午後2時より、東京・丸の内の三井住友銀行丸ノ内クラブにて、タイ王国大使館、財団法人日本タイ協会、日本タイクラブの主催、日本経済新聞社 日メコン交流年2009事業の後援により、「タイ」フォーラム<タイの魅力-タイは私をなぜ虜にしたのか?>が開催されます。『タイ三都周郵記』の著者・内藤陽介も、学習院大学の川嶋辰彦先生(紀子妃殿下のお父上です)やタレントのいとうまい子さんとともに、パネラーとして登場する予定です。

 入場は無料ですが、会場スペースの都合から、ご参加いただけるのは先着100名様(要・事前申込)となっております。イベントの詳細や、お申し込み方法などは、主催者特設HPをご覧ください。

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