内藤陽介 Yosuke NAITO
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 リーマン・ショックから1年
2009-09-15 Tue 22:45
 世界的な金融危機の引き金となったリーマン・ブラザースが2008年9月15日に破綻してから、きょうでちょうど1年になりました。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

 貯蓄貸付組合

 これは、1981年にアメリカで発行された“貯蓄貸付組合150年”の記念切手です。日本語版の某カタログでは、“貯蓄ローン協会”という訳語がつけられています。まぁ、“Savings and Loan Association”をそのまま訳せば間違いではないのでしょうが、ほかではちょっと見ない例ですな。

 貯蓄貸付組合というのは、アメリカで貯蓄と住宅ローンに特化した貯蓄金融機関のことで、預金者と借主の代表によって経営方針が決められるという点で、協同組合に近い性質のものといってよいかもしれません。

 19世紀のアメリカでは、住宅ローンは銀行では無く保険会社が貸付を行っており、ほとんどのローンが短期で一括返済するか、満期までは利子のみの支払い、満期時に一括返済するといういうシステムになっていました。このため、満期でローンを返済しきれない借主は、そのたびに借り替えを続けて借金を増やすか、あるいは、それができなければ競売にかけられて家を失うケースが続発しました。

 当然、こうした状況は社会的に問題となったため、アメリカ政府は連邦住宅貸付銀行を作り、他の銀行に対し長期の償還型のローンを提供するための資金を提供することになりました。そして、その担い手として急成長を遂げたのが、貯蓄貸付組合でした。

 かつてのアメリカの連邦準備制度では、貯蓄貸付組合は預金の利息が高く付けることが認められており、それにより、貯蓄貸付組合に資金を集め、住宅ローンの貸し出しを容易にするという方針がとられていました。“3%の利子で貯金を集め、6 %の利子で融資し、 3時にゴルフ場で営業活動を行う”という3-6-3が貯蓄貸付組合のビジネス・モデルといわれたこともありました。

 ところが、1980年代の規制緩和により、貯蓄貸付組合は不動産関連融資やジャンクボンド投資を積極的に乗り出すようになります。結果的に、これらの投資は失敗に終わり、多くの組合が経営危機に陥りました。1988年には229社が倒産し、預金保険機関による支援合併や清算措置を受けています。このため、アメリカ政府は破綻処理のため整理信託公社を設立し、不良債権を買い取り、1995年末ごろまでに、約1300億ドルの公的資金を投入せざるをえませんでした。

 その後、2000年代に入り、金利が引き下げられるとカネ余りが生じ、この資金が住宅市場に流れ込み、住宅価格が上昇。こうした状況の中で、住宅価格の値上がりを前提に、信用度の低い人々を対象としたサブプライムローンの利用が急増し、住宅バブルの破綻とともにそれらが不良債権化したことで、深刻な経済危機をもたらしたというわけです。

 まぁ、貯蓄貸付組合は、かならずしもサブプライムローン問題の主役というわけではないのですが(もちろん、一連の金融危機で破綻した組合はあります)、今回ご紹介の切手は、貯蓄とローンという単語が非常に目立っているので、持ってきてみました。
 
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