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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 60年前の文化の日
2009-11-03 Tue 02:45
 きょうは文化の日ですが、1949年11月3日に湯川秀樹の日本人初のノーベル賞受賞が発表されてから、60周年の日でもあります。というわけで、きょうはこの1枚をもってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 湯川秀樹

 これは、1985年8月15日に発行された“湯川秀樹「中間子理論」発表50年”の記念切手です。
 
 わが国初のノーベル賞(物理学賞)受賞者として知られる湯川秀樹は、1907年、地質学者・小川琢治の3男として東京に生まれました。翌1908年、父・琢治の京都帝国大学教授就任に伴い、一家は京都に移住。その後、秀樹は人生の大半を京都で過ごすことになります。

 1929年、京都帝国大学理学部物理学科を卒業した後、京都帝国大学講師(兼大阪帝国大学講師)時代の1934年11月17日、日本数学物理学会常会で中間子仮説を発表。その成果を翌1935年2月、『日本数学物理学会』欧文誌の第17巻48-57頁に論文“On the Interaction of Elementary Particles(素粒子の相互作用について)”として発表し、中間子(現在のπ中間子)の存在を予言しました。

 湯川の“予言”の概要は以下のようになります。

 原子を構成する原子核はプラスの電気を持ち、電子はマイナスの電気を持っていて、その間には引力が働いています。ところで、原子核の中には、原子と同数の陽子が存在しますが、これらはすべてプラスの電気のため、それだけでは互いに反発してしまいます。このため、原子核をまとめるためには、原子核の広がりよりも短い距離のみで機能する強い力が存在していなければなりませんが、その力の源は“中間子(電子の質量の200倍であり、なおかつ陽子や中性子よりもはるかに軽いとの計算から、従来知られていた粒子の中間の質量を持つということで、こう名付けられた)”なる未知の新粒子であると考えるとうまく説明がつきます。

 この予言は、1937年、アメリカのアンダーソンらが宇宙船によって実証したことで世界的に脚光を浴び、湯川は1940年に学士院恩賜賞を受賞、1943年には最年少で文化勲章を受章。さらに、1947年にセシル・パウエル等が実際にπ中間子を発見したことで1949年にノーベル物理学賞を受賞しました。湯川の受賞は日本人として初めてのノーベル賞受賞であり、このニュースは敗戦・占領下で自信を失っていた日本国民に大きな力を与えています。なお、全くの余談ですが、湯川のノーベル賞受賞が発表された1949年11月3日は、文化人切手の野口英世が発行された日でもあり、まさに、“文化の日”にふさわしい1日となりました。

 その後も彼は非局所場理論・素領域理論などの革新的かつ野心的な理論を提唱し続けたほか、核兵器廃絶を訴える平和運動にも積極的に携わり、1981年、肺炎で亡くなりました。

 1985年は、湯川の“予言”が収められた論文“On the Interaction of Elementary Particles”の発表から50周年にあたっており、これを記念して、8月15日からは京都府の国立京都国際会館で世界各国の物理学者を集めて“中間子論五十周年京都国際会議(Kyoto International Symposium: The Jubilee of the Meson Theory)”が開催されました。これにあわせて発行されたのが今回ご紹介の切手です。
 
 切手のデザインは、湯川の肖像と原子核モデルを描くもので、3つの球のうち、中央の球が中間子で、これが陽子と中性子の媒介となっていることを表現しています。また、その下に記されている“m=2×10の2乗×electron mass”との数式は、中間子の質量は電子の質量の200倍であるとの湯川の“予言”を示しています。なお、この文字は、湯川が中間子仮説を発表する前日の1934年11月16日、講演原稿として自ら書いた文字から取られたものです。

 さて、現在<解説・戦後記念切手>シリーズの第7巻(最終巻)として、今回ご紹介の切手を含む1985年4月から昭和末までの記念・特殊切手を取り扱った『昭和終焉の時代』を年末に刊行すべく、制作作業中です。本文の原稿も、きのう、ようやく出来上がり、なんとかめども立ってきました。正式な刊行日や定価など、詳細が決まりましたら、このブログでも逐次ご案内してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 * きょう午前中の飛行機で中国・青島に出かけます。ネット環境にあるホテルに宿泊する予定ですので、持参のパソコンに取り込み済みの画像を用いてブログも更新する予定ですが、なにぶんにも海外ゆえ、パソコンがうまく使えない可能性もあります。その場合、5日夕方に帰国するまで、ブログの更新やメールのやり取りなどでご不便をおかけすることがあるかもしれませんが、あしからずご容赦ください。

 ★★★ 出版記念パーティーのご案内 ★★★

 『トランシルヴァニア/モルダヴィア歴史紀行』の刊行を記念して、ルーマニア民主革命20周年の記念日にあたる12月22日、下記のとおり出版記念パーティーを開催いたします。ちょっと変わったオフ会あるいは忘年会としていかがでしょうか。当日は、僕のトークのほか、楽しいアトラクションを予定しております。

 ・日時 2009年12月22日 18:30~

 ・会場 レストラン・ルーマニア(本格的ルーマニア料理のレストランです)
     *東京都中野区本町1-32-24(東京メトロおよび都営地下鉄中野坂上駅1分)
      tel: 03-5334-5341 地図などはこちらをご覧ください。

 ・会費 7000円(『トランシルヴァニア/モルダヴィア歴史紀行』1冊つき)
     *当日会場にてお支払いをお願いいたします。

 ・参加ご希望の方は、12月18日までにキュリオマガジン編集部まで、電子メール(info@fujimint.com)にてお申し込みください。たくさんの方々のお越しを心よりお待ちしております。
 

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