内藤陽介 Yosuke NAITO
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 再軍備反対
2005-11-10 Thu 15:19
 1950年6月に朝鮮戦争が勃発すると、日本に駐留していた米軍の兵力は朝鮮半島に派遣されます。この軍事的空白を埋めるために作られたのが警察予備隊で、それが現在の自衛隊のルーツとなっていることは皆さんもご承知の通りです。

 警察予備隊の発足は日本の戦後史にとって非常に重要な出来事なのですが、いざ、それを切手やカバー(封筒)等で表現しようとすると、ピタリとはまるマブツを日本関連のマテリアルの中から探してくるのはなかなか容易ではありません。で、ちょっと視点を広げてみると、中国にこんなものがありました。

最軍備反対

 このカバーは、1951年6月、汕頭から差し出されたものですが、下のほうに紫色で日本の再軍備に反対するスローガンの印が押されています。その趣旨を要約すると「8年間(に及ぶ日中戦争)の犠牲と深い恨みを忘れるな。我々はアメリカ帝国主義による日本の再軍備に断固反対する」といったことになりましょうか。「美帝重新武装日本」の文字が、非常にストレートです。なお、同じ文面のスローガン印には、ここでご紹介しているもののほかにも、いくつかのタイプがあります。

 当時の中国は、朝鮮戦争に人民志願軍を派遣しており、直接米軍と戦火を交えていましたから、日本の再軍備によって朝鮮に派遣される米軍兵力が増強されるのは望ましからぬシナリオでした。同時に、再び軍事力を持つようになった日本がアメリカの指揮の下、朝鮮戦争に参加してくるのではないかとの懸念もぬぐえなかったものと思われます。今回のスローガン印は、そうした事情から、中国各地の郵便局で郵便物に押され、共産党政府のプロパガンダの一翼を担うことになったわけです。

 さて、今月1日にスタートした「反米の世界史:切手が語るアメリカ拡大の歴史」展(東京・白金の明治学院大学 キャンパス内のインブリー館にて開催中 10:00~16:30 入場無料)も、いよいよ、本日(10日)をもって最終日となりました。今回ご紹介しているカバーのように、今年6月に上梓した拙著『反米の世界史 』には採録されていない図版も含め、アメリカと戦ってきた過去を持つ国々のマテリアルを横断的に見比べていただけるように展示を構成しています。ご関心の向きは、ぜひとも、会場までお運びいただけると幸いです。(今日は僕も会場に終日詰めていますので、お気軽にお声をおかけください)
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