内藤陽介 Yosuke NAITO
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 きょうからJTPC展です
2010-01-15 Fri 13:16
 きょう(15日)から、東京・目白の切手の博物館でテーマティク出品者の会(JTPC:Japan Thematic Philatelists Club)の切手展がスタートしました。僕も、「マシュリク近現代史」と題して、3フレーム(48リーフ)の作品を出品しています。その中から、こんなモノを御紹介しましょう。(画像はクリックで拡大されます)

      ヨルダン・パレスチナ加刷     ヨルダン・パレスチナ逆加刷     

 これは、1948年にトランスヨルダンが発行したパレスチナ加刷切手(左)と、その逆加刷(右)です。僕のコレクションは、“歴史”を扱っている関係から、どうしてもカバーが中心になってしまうのですが、少ないながらも、単片のバラエティも使っているので、持ってきてみたという次第です。

 第一次大戦後の旧オスマン帝国領の分割の過程で、1921年、イギリスはヨルダン川東岸地域に委任統治領としての“トランスヨルダン(ヨルダン川東岸を意味する)”を創設。大戦中、いわゆるアラブ叛乱でオスマン帝国との戦いで重要な役割を果たしたハーシム家のアブドゥッラー(切手の人物です)をアミール(首長)として、アンマンに政府を樹立しました。

 その後、トランスヨルダンは1946年にイギリスから独立。1948年5月に第一次中東戦争が勃発すると、イスラエルの独立を阻止するとして参戦し、イギリス撤退後のヨルダン川西岸地区を占領しました。今回ご紹介の切手は、これに伴い発行されたものです。

 第一次中東戦争は、結局、イスラエル側の勝利に終わりましたが、トランスヨルダンのアラブ軍団は1949年4月の休戦までエルサレム旧市街を含むヨルダン川西岸地区を維持します。そして、イスラエルとの休戦協定成立後の1949年6月、トランスヨルダンはヨルダン川西岸地区と東エルサレムを併合し、新国家“ヨルダン・ハシミテ王国”の建国を宣言し、ここに、現在のヨルダン国家が誕生しました。エジプトによるガザ地区の占領と同様、“パレスチナ解放”の大義とは裏腹に、アラブ諸国が混乱に乗じてパレスチナの犠牲の上に自国の権益を拡大しようという意図をもって参戦していたことを象徴的に示している事例といってよいでしょう。
 
 さて、今回の作品のタイトルになっているマシュリクというのは、もともとはアラビア語で“日が昇るところ”の意味で、“日の没するところ”としての西方アラブ世界のマグレブに対する東方アラブ世界のことで、その範囲としては、エジプト以東の地中海東岸からイラクを指すのが一般的です。僕の今回の作品では、現在の国名でいうと、シリア・レバノン・パレスチナ・ヨルダン・イラク・アラビア半島を扱いました。将来的には、エジプト近現代史、マグレブ近現代史のコレクションも作ってアラブ世界全体をカバーしたいのですが、今回の作品は、その第1歩としてご覧いただけると幸いです。


 ★★★ イベントのご案内 ★★★

 1月15~17日(金~日) 第1回“テーマティク出品者の会”切手展
 於・切手の博物館3階(東京・目白)
 僕も、「マシュリク近現代史」と題して、スエズ以東のアラブ世界の近現代史をたどるコレクションを出品する予定です。詳細はこちらをご覧ください。


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