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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 あの飛行機も日航機だった
2010-01-20 Wed 10:01
 きのう(19日)、日本航空と子会社の日本航空インターナショナル、ジャルキャピタルの3社が会社更生法を申請し、経営破綻しました。負債総額は負債は日本航空が約6715億7800万円など、3社合計で約2兆3221億8100万円。金融機関を含めても戦後4番目の大型倒産で、一般の事業会社としては、2000年のそごうの1兆8700億円を抜いて最大規模の倒産となりました。というわけで、きょうは日航ネタということでこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      よど号カバー

 これは、1970年3月の日航機“よど号”のハイジャック事件(よど号事件)の際、よど号に搭載されていたカバーです。

 1960年代末、日本では吹き荒れていた学園紛争の嵐は、1969年1月の東大・安田講堂の攻防戦を機に退潮していきましたが、一部の活動家は、“赤軍派”を称して革命を夢想し、テロ活動を展開するなど先鋭化していきました。

 そうした中で、田宮高麿を中心とする9人の赤軍派学生らは、日本に共産主義革命を起こすために海外で軍事訓練を受けることを企図。1970年3月31日、東京(羽田)発福岡行の日航機よど号をハイジャックして、平壌へ行くことを機長に要求しました。もっとも、犯人グループの行動は場当たり的で、事前に北朝鮮側と打ち合わせを行っていたわけではなく、北朝鮮への入国に対しても北朝鮮当局の了承も得ていませんでした。

 このため、よど号は、給油のために福岡空港に着陸して人質のうちの老人・婦女子を解放した後、いったん、北朝鮮の領空に入ったものの、北朝鮮側から着陸の許可が下りない可能性が高かったため、ソウル近郊の金浦空港に偽装着陸。日・米・韓三国の警察当局は、共同作戦で犯人たちを逮捕しようとします。

 しかし、偽装着陸を察知した犯人側は、「ここは北朝鮮だ」と説得する空港職員(に変装した警察官)に対して、金日成の巨大な肖像を持参するよう要求。当時の韓国内にそのようなものがあるはずもなく、警察当局のもくろみは頓挫してしまいます。

 結局、犯人側は、人質とともによど号内に篭城。騒ぎが大きくなるにつれ、北朝鮮側も、犯人たちを受け入れることが、自国の政治宣伝に有益であると判断するようになり、田宮らの受入れを承諾し、最終的に、運輸政務次官の山村新次郎が人質となることで一般の乗客が解放され、4月3日、犯人グループは北朝鮮に亡命し、山村も解放されました。

 その後、よど号グループのメンバーは、ながらく、北朝鮮内で生活しているものとされていましたが、現在では、北朝鮮当局の意を受けて、彼らが海外での日本人拉致事件に関与していたことが明らかになっています。北朝鮮が国際社会から“テロリスト支援国家”とされているのは、こうしたよど号グループの亡命受入や、その後の彼らの活動なども、その根拠の一つとなっています。

 さて、事件当時、よど号には少なからぬ郵便物が搭載されていましたが、4日間にも及んだ事件の影響により、そうした郵便物の配達は通常よりも大幅に遅れることになりました。このため、事件後、よど号から回収された郵便物には、「この郵便物は乗取り事故の日航機に搭載されていたため遅延しました」との事情説明の付箋が貼られ、名宛人に配達されています。今回ご紹介のカバーもその一例です。

 なお、よど号事件と事件が日韓関係に与えた影響などについては、拙著『韓国現代史:切手でたどる60年』でもいろいろとご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。


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