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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ハワイ官約移住125年
2010-01-27 Wed 13:41
 1885年1月27日、ハワイへの“官約移民”第1号の船が横浜を出航してから、きょうでちょうど125年です。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      ハワイ官約移住75年

 これは、1960年8月20日に発行された「ハワイ官約移住75年」の記念切手です。

 19世紀のハワイには、白人が大量に流入しましたが、その結果、さまざまな疫病がもたらされ、ハワイの人口は激減(推定人口15~25万人が4万人にまで減少したといわれている)します。このため、労働力不足に悩んだハワイは、1852年、中国からの移民を受け入れはじめました。さらに、1868年、日本からも“元年者”とよばれる153名の移民(ただし、彼らは正規の渡航手続を経ない“不法移民”)が英国帆船サイオト号で来航。ハワイを媒介に、アメリカ系資本と日本人労働者が出会うことになりました。

 ハワイにおけるアメリカのプレゼンスはその後も増大し続け、1876年には米・ハワイ互恵条約が調印されます。これにより、アメリカはオアフ島の真珠湾を軍事目的で利用する権利を獲得し、ハワイの軍事基地化を開始。その代償として、ハワイ産の砂糖は無関税でアメリカに輸出できるようになりました。

 この結果、ハワイの砂糖産業は急激に発展を遂げますが、同時に、労働力不足もより深刻になります。

 このため、1884年、太平洋諸国歴訪の一環として日本を訪れたハワイ国王カラカウアは、日本政府に移民の送り出しを要請。これに応え、1886年、「日本人民布哇国渡航条約」が両国の間で調印され、前年の1885年以降の移民が、この条約に基づく移民ということで“官約移民”と称されるようになりました。そして、日本政府は、公式には、この官約移民をもって日本からハワイへの正規の移民が始まったとの立場をとっています。
なお、最初の官約移民948名は、1885年1月27日に太平洋郵船会社の東京号で日本を出帆し、2月8日、ハワイに入港しています。

 こうした日系の官約移民は、当時のハワイ社会を牛耳っていたアメリカ系資本家のクーデタで、王国が滅亡に追い込まれる1893年まで続き、約3万人の日本人がハワイに渡りました。これは、当時のハワイ在住者の約4割にも相当しまています。

 なお、ハワイ王国の滅亡後、現地では“米国が正式にハワイを併合するまでの暫定政府”を経て、1894年(明治二十七)年に“ハワイ共和国”が成立します。そして、1898年年に米西戦争が勃発すると、真珠湾の重要性に着目したアメリカはハワイの領有を宣言。1900年にハワイを準州として正式な属領に編入しました。

 こうした混乱の中で、ハワイ王国と日本との間で結ばれた条約による官約移民の制度は自然消滅し、以後、移民個人とプランテーション会社が直接契約を結ぶ私的移民が行われるようになりました。そして、1924年に日系移民の受け入れが禁止されるまで、20万人の移民がハワイに渡りました。

 今回ご紹介の切手が発行された8月20日というのは、移民第1号の出発日でもなければ到着日でもなく、現地で高松宮夫妻を招待して行われた“ハワイ官約移住75七十五年祭”の開催初日にあわせたものです。記念名称の“官約”の字句については、一般人にはわかりにくいので、切手上では使いたくないとする郵政省に対して、1960年という年に記念行事を行うためには“官約”の文字が絶対必要とする外務省が対立しましたが、結局、外務省側の意見がとおり、記念名称には“官約”の文字が入っています。

 また、切手にはハワイの象徴としてパイナップルが描かれていますが、当初のデザイン案ではパイナップルではなくヤシの木となっていました。ただし、ハワイでパイナップルのプランテーション栽培がはじまったのは1901年のことで、このとき、すでにアメリカ領に編入されていたハワイと日本との間の“官約移住”は終了しており、今回の切手の題材として取り上げることが適切だったかどうか、疑問がないわけではありません。


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