内藤陽介 Yosuke NAITO
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 きょうから大遣唐使展
2010-04-03 Sat 17:58
 きょう(3日)から、奈良国立博物館で、平城遷都1300年を記念し遣唐使ゆかりの品々を紹介する“大遣唐使展”がスタートしました。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      遣唐使船

 これは、1975年8月30日に「船シリーズ」の第1集として発行された“遣唐使船”の切手です。

 遣唐使船は、奈良時代を中心に西暦7世紀から9世紀にかけて、先進的な唐の文化を導入するため、前後12回にわたって派遣された使節船です。航海は、1艘に120人以上が乗り込み、2艘から4艘の編成で行われました。帆は2本の帆柱に、竹を裂いて編んだ網代帆を張るという当時としては進歩的なものでしたが、横風や逆風でも自由に帆を操れるだけの操帆技術がなかったため、舷側に櫓棚を設け、風の悪い時は櫓で漕ぐという方法で前進していました。

 切手の原画は、平安時代の「聖徳太子絵伝」と「吉備大臣入唐絵詞」を資料として、TEM研究所の砂川康子を中心に作成されたものです。

 TEM研究所は武蔵野美術大学を卒業した当時20代の男女8名による研究所で、人間の実生活における建築や環境、工芸、デザインなどを扱っており、漁村における船の研究なども行っていました。こうしたことから、船シリーズの題材選考委員会のメンバーで、水産庁漁船研究室の石井謙治とのつながりがあり、石井を通じて、今回の切手図案の制作がTEM研究所に対して依頼されたという経緯がありました。

 なお、郵政省の発表では、砂川が「遣唐使船」の原画作者であるとされていますが、砂川本人は、今回の作品は、いわゆる個人の制作によるものではなく、あくまでも研究所全員によるチームワークによって完成したものという姿勢を崩していません。

 原版の彫刻を担当したのは、凹版彫刻の名手として有名だった押切勝造です。今回の彫刻は、通常は1ミリの間に8本程度の画線が掘り込まれているところを、10-12本の画線を掘り込むというもので、当時の日本の凹版彫刻の技術水準の高さを誇示するものとなっています。また、完成した切手は、波の部分が広重や北斎など浮世絵風の雰囲気になっていますが、これは砂川の原画を元に、押切が独自のアレンジを加えたもので、切手の仕上がりに独特の雰囲気を与えることに成功しています。

 なお、この切手を含む船シリーズについては、拙著『沖縄・高松塚の時代』で詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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