内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 国労のゴネ得
2010-04-10 Sat 12:33
 1987年の国鉄分割・民営化に反対した国鉄労働組合(国労)の組合員らがJRに採用されなかった問題に関して、与党3党と公明党はきのう(9日)、1人あたり約2200万円の和解金を支払う案を示し、政府、組合員側ともにこれに合意しました。これにより、いわゆるJR不採用問題は、金銭面では23年ぶりに解決に向かうことになりました。というわけで、きょうはこの1枚です。

      JR発足

 これは、1987年4月1日、JR発足にあわせて発行された“新鉄道事業体制発足”の記念切手で、国産第1号の860形蒸気機関車が取り上げられています。
 
さて、公共企業体としての日本国有鉄道(以下、国鉄)は、1949年6月1日、運輸省鉄道総局の管轄にあった鉄道事業を行政機構から切り離し、鉄道事業を独立採算制で運営することを目的として発足しました。

 1957年から1964年にかけて、国鉄は急速に施設の建替えや建設、輸送力の強化などを推進し、1964年に開業した東海道新幹線は国鉄の技術力を世界に示すシンボルとなりました。しかし、1970年前後から、自動車や航空機との競合が激しくなったほか、政治的判断により、採算性を無視したローカル線が次々に建設されていったことや、過剰な雇用による人件費の負担が経営を圧迫。さらに、経営改善を理由に運賃値上げが繰り返されたことで、ますます国鉄の利用者が減少するという悪循環の中で、国鉄の経営は危機的な状況に陥っていきました。

 さらに、いわゆる55年体制下での最大野党・日本社会党の支持母体であった国鉄労働組合(国労)が展開してきた “遵法闘争”(安全確認などを名目に、通常よりもゆっくりと列車を走らせ、ダイヤを混乱させるという闘争)や違法なスト権スト、組合員による怠惰で横柄な態度、ヤミ手当ての発覚などは利用者の反発を招き、都市部での国鉄離れを加速させて行くことになりました。

 こうしたことから、1982年に発足した中曽根康弘政権は、国鉄の経営再建(債務解消)と労働組合の弱体化を目的として、国鉄の分割を民営化の方針を決定。左翼・組合勢力の抵抗を排して、1986年11月28日、いわゆる国鉄改革関連8法 が成立し、翌1987年4月1日付で、国鉄は地域別の旅客鉄道会社6社と貨物鉄道会社1社に分割・民営化されました。

 いわゆるJR不採用問題は、国鉄からJRへの移行に際して不採用となった1047人の大半が国労の組合員だったことから、国労つぶしの不当労働行為だとの批判がありました。しかし、かつての国労がやってきたことが、いかにでたらめで、利用者に不快感を与えて来たか、国鉄時代を体験している人ならだれもが記憶にあることだと思います。

 実際、国労関係者を排除して再出発したJRのサービスが格段に向上し、毎年のように値上げされていた山手線の運賃も据え置きになっています。このことからも、通常の感覚からすれば、当時のJRの判断は、基本的に間違っていなかったといえましょう。

 余談ですが、僕自身、高校時代は通学に国鉄を利用してきましたが、駅員の対応で不愉快な思いをしたことは数え切れません。幸い、自宅は私鉄(後に地下鉄)の沿線で、高校卒業後の通学先・勤務先はいずれも私鉄ないしは地下鉄の沿線でしたから、日常的にJRを利用せずにすんでいましたが、国鉄・JRには、どうしても乗る気にはなれず、代替可能な場合は極力、私鉄と地下鉄を利用し、必要最小限しかJRは利用しないという状況がずっと続いていました。まぁ、40歳になる頃から、ようやく、山手線・中央線に乗ることにも抵抗感がなくなりましたが、物心両面で人間が丸くなったということなんでしょう。

 これまで、国労組合員らは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構を相手どって損害賠償などを求める複数の裁判を起こしていますが、裁判で認められた最高の賠償額は、遅延金利分を含め1人当たり約1100万円、つまり、今回の決定の半額です。くわえて、原告らの生活を支援してきた団体などにも約58億円が支払われるそうですが、本来なら、政府ではなく、1人あたり2200万円を受け取った原告らこそがそうした団体に援助相当額を返済するというのが筋ではないでしょうか。

 さらに、政府は、約200人の採用をJRに要請するそうですが、この問題について、最高裁は、JRに採用責任はないとの判断を示しており、法的にはすでに決着しています。大卒新人でも就職難のこのご時世、政府がJRに就職を要請すべきのは、意欲も能力もありながら、仕事にありつけない優秀な若者ではないのでしょうか。すくなくとも、民間会社であるJRは連中の再就職など門前払いにすべきです。

 本来、労働組合は労働環境の改善のための組織であるはずですが、どうも、わが国の場合は、政治活動を優先させておかしなことをやる団体が目立つようです。かつての国労もそうですが、最近、あいついで不祥事が明らかになっている日教組などを見ていると、日本では巨大労組イコール反社会的集団ではないかと思いたくなるほどです。まぁ、日本人を拉致して恥じることのない連中も“労働党”を名乗っていますからねぇ。まじめな労働者ではなく、労働者を騙る連中というのは、その時点で十分にいかがわしいということなんでしょうな。

 なお、“新鉄道事業体制発足”の記念切手は、今回ご紹介したモノのほかに、リニアモーターカーを描く切手もありますが、そちらについては、拙著『昭和終焉の時代』をご覧いただけると幸いです。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★

  総項目数552 総ページ数2256  
  戦後記念切手の“読む事典”(全7巻) ついに完結!

      昭和終焉の時代  『昭和終焉の時代』 日本郵趣出版 2700円(税込)

 2001年のシリーズ第1巻『濫造濫発の時代』から9年。<解説・戦後記念切手>の最終巻となる第7巻は、1985年の「放送大学開学」から1988年の「世界人権宣言40周年」まで、NTT発足や国鉄の分割民営化、青函トンネルならびに瀬戸大橋の開通など、昭和末期の重大な出来事にまつわる記念切手を含め、昭和最後の4年間の全記念・特殊切手を詳細に解説。さらに、巻末には、シリーズ全7巻で掲載の全記念特殊切手の発行データも採録。

 全国書店・インターネット書店(amazonbk1JBOOKlivedoor BOOKS7&Y紀伊国屋書店BookWebゲオEショップ楽天ブックスなど)で好評発売中!
スポンサーサイト

別窓 | 日本:昭和・1985~1989 | コメント:7 | トラックバック:0 | top↑
<< カティンの森事件と亡命政府 | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  キルギスの政変>>
この記事のコメント
バラ撒き福祉大好き&労組頼みの民主党は長年ゴネ続けた国労組合員に1人2000万以上のカネを大盤振る舞いしてやるのですから呆れたものです。しかもそのカネは例によって我々の税金&借金なんですから何をか況やです。国労組合員も民主党政権誕生が絶好&最後のチャンスと言っていただけに、見事大金をせしめて大喜びしていることでしょう。しかし、かつての国鉄のあまりのサービスの悪さ、身勝手さを知る者の一人としてはJRへの再雇用を叫ぶ国労組合員は全く同情出来ませんでした。サービス精神のカケラも無い無愛想な駅員に年中ストをやっていた国鉄の組合員、ビラをベタベタ張りスローガンを殴り書きした汚らしい電車や機関車等々国鉄時代の忌まわしい記憶は国労組合員の身勝手な主張とダブって今更ながら腹が立ちます。
2010-04-12 Mon 10:28 | URL | アルファ #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
#1690
国鉄の赤字の原因をもう少し勉強なさったほうが宜しいかと思いますよ。
ゴネ得とおっしゃいますがが23年間の補償がたった2200万です。全然得では無いと思います。
2010-04-12 Mon 15:54 | URL | #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 皆様、コメントありがとうございます。

・アルファ様
 国労の連中は、左翼のゴロツキ・タカリの典型ですね。こういう輩をのさばらせておいては、社会正義は維持できないと思います。

・#1690様
 まず、コメントの際には、ハンドルネームでかまいませんので、必ず名乗るようにしてください。通常であれば、名前を名乗らない書き込みは、内容の如何に関わらず、無視しております。
 
 さて、本文を読んでいただければお分かりと思いますが、旧国鉄の赤字の基本的な原因は、不採算路線の建設や非国労組合員も含めた過剰な雇用にあるわけで、全てが国労にあるとは僕も書いていませんよ。ただ、彼らの狼藉が多くの国民の国鉄不信を招き、結果的に、大きく経営の足を引っ張ってきたことはまぎれもない事実だと思います。

 裁判の判決では、最大でも1人1100万円だったのが倍額の2200万円になっているのは、世の中の常識からすれば、十分にゴネ得でしょう。そもそも、あの連中にびた一文支払うべきではなく、それどころか、損害賠償を請求したいくらいだというのが、まともな国民の感覚ではないでしょうか。

 “労働者”を騙る非道な連中の横暴は、まじめな労働者のためにも、絶対に許してはなりません。
2010-04-19 Mon 11:35 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
#1726 国労のごね得
ブログ主様のご意見に全く同感です。
国労以外でも、国鉄民営化の時は退職した者も
たくさんいたはずです。最後までごねて最後は補償金を
せしめる、これだけでも十分だと思います。どこからこの
お金が出ているかと言えば国税です。
 今の労働組合と言うのは既得権益の擁護団体、すなわち組合役員による役員、労働貴族のための団体と化しています。それは、自治労の地方公務員の組合を見れば一番よく分かると思います。
 国労の人と思しき人たちが、朝、不定期に会社の門の前に立って不採用者の救済を!などと言うビラを配っていることがあるのですが、あれは誰の許可を得てやっているのか、人の会社の門に勝手に立って配るのが、とても不快です。
 権利ばかり主張して義務を怠ったものの末路としては、
あまりにも恵まれすぎた今回の政治決着劇でした。
2010-07-03 Sat 23:35 | URL | まるなま #cO0F7Ask[ 内容変更] | ∧top | under∨
 まるなま様

 どうして、大手の組合にはおかしな輩が集中するんでしょうかねぇ。やはり、自分たちが、仕事もせずに組合活動の名目で政治運動をやっていても、組織が潰れることはないと安心しきっているからなのでしょう。そういう寄生虫は、もはや労働者でもなんでもありません。

 企業にたかる総会屋が反社会的な存在であるとするなら、“労働者の味方”を騙る輩もまた、反社会的存在として追放していかねばならないと思います。
2010-07-05 Mon 00:00 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
#2375 承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2015-04-09 Thu 05:13 | | #[ 内容変更] | ∧top | under∨
#2439 田舎の鉄道
 中学の国語の教科書に載っていた小説で、やはり横柄な国鉄職員が嫌いでなるべく私鉄、と言う一節があったように思います。「都市部の国鉄離れ」ここが田舎者には実感が無いところです。田舎では鉄道とは
・地域が事業者に懇願して敷設して頂くもの
・客として乗ってやるのではなく、ありがたく利用させて頂くもの
・どうか廃止しないでと、やはり地域が哀願するもの
・「乗って残そう」のように、存続は客も努力すべきもの
 余談ながら、「どうして東京の電車はこんなに細かくいくつもの会社に分かれているのだろう、全部JRなら便利なのに」と言うのが私の口癖。
2017-02-19 Sun 00:51 | URL | いわゐ將軍 #B7q/.fmY[ 内容変更] | ∧top | under∨
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/