内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 捕鯨浪漫主義
2010-05-23 Sun 11:33
 雑誌『キュリオマガジン』の6月号ができあがりました。(下の画像は表紙のイメージ。クリックで拡大されます)

      捕鯨浪漫主義

 今月は、“捕鯨浪漫主義”と題して、欧米のコレクターズ・アイテムのうち、鯨と戦う男たちのカッコよさを表現したモノを集めた特集(文章はすべて僕が書きました)を組みました。具体的には、19世紀の捕鯨船から差し出されたカバーのほか、ナイフやライター、シガレット・カード、昔の雑誌広告などを取り上げています。一人でも多くの方にご覧いただきたいので、ご紹介する次第です。

 まずは、企画の趣旨をご理解いただくために、特集の“まえがき”に相当する文章を引用してみます。

*****

 欧米の環境保護団体は日本の捕鯨を野蛮で残酷だと非難する。これに対して、日本人は捕鯨が日本の文化・伝統だと主張し、それを理解しようとしない白人に対して不満を募らせる。この何十年もの間、うんざりするほど繰り返されてきた構図だ。

 しかし、ちょっと待って欲しい。

 本当に捕鯨は日本だけの特殊な文化・伝統なのか。否、そんなことは断じてない。むしろ、歴史的に見れば、欧米社会こそ、捕鯨を題材とした文学・演劇・音楽・絵画などさまざまな文化を残してきたではないか。

 陸の西部劇と海の捕鯨は、カッコいい荒くれ男たちの物語の双璧である。いずれも、現在の視点からすれば、野蛮で残酷な面があるのは承知している。しかし、それでもなお、知力・体力の限りを尽くし、命の危険を顧みずに大自然の中で奮闘する男たちの姿を見て、単純素朴に美しいと感じる人も多いはずだ。

 強い男は、顔の造作がどうあろうと、良い女を惹きつける。そのことはモデル風の優男よりも、武骨な格闘家の方が、概して美人の嫁さんを娶っていることからも明らかだ。

      捕鯨浪漫主義・扉絵

 1884年にアメリカで発行された少年向け雑誌の表紙には、鯨に向かって銛を打ち込もうとする少年の脇で、手に汗握り、彼をはげます少女の絵(上の画像)が印刷されている。もちろん、こんな遊園地の射撃まがいの捕鯨なんてありえないのだが、少年は少女の存在があればこそ強くなれるし、実際そうあってほしいと願う大人たちの自然な感情は伝わってくる。

 捕鯨は文化だった。ただし、それは日本だけではなく、人類全体(少なくとも海のある地域では)普遍的な現象だ。

*****(引用終わり)

 いわゆる反捕鯨論者の主張は、基本的には、数値的な裏付けは何もない感情論でしかなく、論理的な整合性は微塵もありません。もちろん、僕も言論人のはしくれですから、言論ならびに思想信条の自由は尊重しますし、その意味において反捕鯨論者がどのような発言をしようと、そのこと自体は否定しません。しかし、環境保護を騙り、多くの人から巨額の資金を集めて日本の捕鯨船に対する暴力行為を繰り返す極悪非道なテロリスト集団シーシェパードや、鯨肉の窃盗をあたかも正義の行動であるかのように主張するグリーンのような犯罪者集団は断じて許すことはできません。

 さて、連中のデタラメな主張を論理的に粉砕することは、健全な思考力の持ち主であれば容易なことです。しかし、彼らの議論は単なる感情論でしかないからこそ、客観的なデータを用いての実証的な説明を拒絶するという傾向が非常に強いのも事実です。特に、欧米の環境テロリストたちの言動からは、そもそも非白人である日本人に対する人種的な偏見が濃厚に感じられます。こういう輩やそのシンパに対して、捕鯨が日本の文化的伝統であると主張しても、おそらく連中は聞く耳を持たないでしょう。

 それゆえ、捕鯨が日本の歴史や伝統と深くかかわってきたことを内外に広く紹介し、理解を求めていくことが重要であるにしても、それだけでは、いかがわしい反捕鯨論者と戦っていくのは不十分ではないかと思います。

 そこで、環境テロリスト・犯罪者集団と彼らを支持する人たちへの異議申し立ての手法として、捕鯨というのは欧米でも文化として高い評価を得て来たじゃないか、という点を強調することにしました。この点で、コレクターズ・アイテム全般を扱う『キュリオマガジン』は、まさにうってつけの媒体です。

 現在でも、インターネットオークションの eBay などを見れば、環境保護の象徴としての鯨ではなく、鯨と戦う男たちのカッコよさを表現した捕鯨関連のグッズが人気を集めていることがわかります。このことからも、欧米人、特にアメリカ人の心の奥底に、“捕鯨へのあこがれ”が残っているという面は否定できないのは明らかです。こうした彼らの感情を掘り起こしたうえで、すべての鯨が絶滅危惧種なのではないという実証的なデータを示してやれば、反捕鯨派に対して、効果的な一撃を打ち込むことが可能となるでしょう。

 雑誌『キュリオマガジン』はモノ雑誌ですから、誌面では、あえて、捕鯨・反捕鯨の議論はしていません。あくまでも、モノを通じて“捕鯨のカッコよさ”を皆さんに見てもらうだけという構成を取りました。ただし、ご覧いただければ、おのずと、その意図はお分かりいただけるものと信じています。

 なお、雑誌『キュリオマガジン』についてのお問い合わせや入手方法などにつきましては、出版元のHPをご覧いただけると幸いです。

 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★

  総項目数552 総ページ数2256  
  戦後記念切手の“読む事典”(全7巻) ついに完結!

      昭和終焉の時代  『昭和終焉の時代』 日本郵趣出版 2700円(税込)

 2001年のシリーズ第1巻『濫造濫発の時代』から9年。<解説・戦後記念切手>の最終巻となる第7巻は、1985年の「放送大学開学」から1988年の「世界人権宣言40周年」まで、NTT発足や国鉄の分割民営化、青函トンネルならびに瀬戸大橋の開通など、昭和末期の重大な出来事にまつわる記念切手を含め、昭和最後の4年間の全記念・特殊切手を詳細に解説。さらに、巻末には、シリーズ全7巻で掲載の全記念特殊切手の発行データも採録。

 全国書店・インターネット書店(amazonbk1JBOOKlivedoor BOOKS7&Y紀伊国屋書店BookWebゲオEショップ楽天ブックスなど)で好評発売中!
スポンサーサイト

別窓 | その他の書籍・雑誌 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< 世界漫郵記:崗頂前地 | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  イエメン統一20年>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/