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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 板門店の切手
2010-05-26 Wed 16:13
 きのう(25日)、哨戒艦沈没をめぐる韓国政府の対抗策に反発し、すべての南北関係を断絶すると発表した北朝鮮が、板門店の赤十字連絡代表部事業を中止し、同代表部を通じた通信を断絶すると通知してきたと発表してきました。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      板門店

 これは、1959年6月25日(朝鮮戦争の開戦記念日)に発行された北朝鮮の「米軍撤退闘争の日」の記念切手です。板門店は南北双方の切手に取り上げられていますが、今回ご紹介のモノが、板門店を取り上げた最初の1枚になります。

 朝鮮戦争の休戦交渉(朝鮮軍事会談)は、1951年7月10日、開城ではじまりました。

 当初、国連軍側は、1ヵ月程度で交渉は妥結するものと楽観視していましたが、会談は議題の設定をめぐって最初から難航。①議題の採択、②非武装地帯の設定と軍事境界線の確定、③停戦と休戦のための具体的取り決め、④捕虜に対する取り決め、⑤双方の関係各国政府に対する通告、という5項目を議題とすることが決定されたのは7月26日のことでした。

 しかし、その後も、軍事境界線は、現在の勢力圏の北側にすべきとする国連側と、あくまでも38度線にすべきとする共産側との溝は埋まらず、交渉はただちに暗礁に乗り上げます。そして、8月22日、共産側は、国連軍機による開城上空の侵犯を理由に会談の打ち切りを通告。その後、会談は10月25日に板門店に場所を移して再開されました。

 中国・北朝鮮側が会談の再開に応じた理由は定かではありませんが、10月初旬から行われていた国連軍の攻勢に対して、中国・北朝鮮側が時間を稼ぐため、との見方もなされています。

 新たに会談場となった板門店は、ソウルと新義州(朝鮮半島北西部の中朝国境の都市)を結ぶ京義街道の一寒村で、北緯38度線の南方5キロ、北朝鮮・開城市の東方9キロの地点、現在の休戦ライン上の西端に位置しています。ちなみに、ソウルからは北西に62キロ、平壤からは南方に215キロの距離にあります。

 休戦会談が行われるようになった当初、この地は、パンムンジョムではなく、ノルムンリ(板門里)と呼ばれていました。当初の会談場所は、現在、テレビなどでおなじみの“板門店”と呼ばれている場所から約1キロ北側で、周辺には、草屋4棟の他は、会談場として使われたプレハブ2棟、簡易式の宿舎3棟しかなかったといわれています。

 その後、会談場が現在の地点に移された際、この会談に参加する中国の代表の便宜をはかり、会談場近くの雑貨店を漢字で「板門店」と表記したことから、この名が定着することになりました。

 1953年7月に休戦協定が調印されるまで、板門店では1076回にも及ぶ会談が延々と繰り返されました。その後も、板門店は南北間唯一の公式の接点として、南北間の軍事連絡特別委員会や南北赤十字会談所が置かれてきました。また、北朝鮮側には「板門閣」が、韓国側には「自由の家」が、それぞれ設置され、報道関係者や観光客(団体のみ)が訪れています。

 なお、朝鮮戦争やそれにまつわる切手・郵便物については、拙著『韓国現代史:切手でたどる60年』でもいろいろとご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。

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