内藤陽介 Yosuke NAITO
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 パキスタンで連続自爆テロ
2010-07-02 Fri 21:17
 パキスタン東部ラホールで、現地時間の1日夜(日本時間けさ未明)、イスラムの聖者廟に集まっていた数百人の信者を狙った3件の自爆テロが相次いで発生し、少なくとも42人が死亡、170人以上が負傷しました。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、負傷された方にはお見舞い申し上げます。というわけで、きょうは、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ブット追悼カバー

 これは、2008年にパキスタンで発行されたベーナズィール・ブットーの没後1周年の切手と彼女の国連人権賞受賞の記念切手が貼られたカバーです。

 近代以降のイスラム世界初の女性首相となったブットーは、2007年12月、首都イスラマバード郊外のラーワルピンディーで開催された選挙集会で、イスラム原理主義者と思われるテロリストの銃撃と自爆テロにより暗殺されました。その意味では、パキスタンにおけるテロの深刻さを象徴するような人物といってよいかもしれません。

 ただし、ブットーは必ずしも一貫して反原理主義・反テロの立場をとっていたわけではなく、1990年から1993年にかけての第2次政権期に、アフガニスタンのタリバン勢力を支援していたことがあります。当時、隣国のアフガニスタンは内戦状態でしたから、ブット政権としては、タリバンがアフガニスタンを安定させ、それにより、パキスタンと中央アジアとを結ぶ通商ルートが開かれることを期待していたようです。また、内戦を通じてアフガニスタンにイランの影響力が扶植されるのを防ぐためにも、パキスタンから見れば、親イラン派への対抗勢力としてタリバンを支援することは十分に意味のあることでした。

 こうしたことから、ブット政権はタリバンに軍事的・経済的支援を与え、タリバンは急速に勢力を拡大していきます。しかし、タリバンが支配地域であまりにも原理主義的な政策を展開していることが世界的に知られるようになると、ベナズィール側はタリバン非難を始めます。これに対して、タリバン側も女性政治家であるベナズィールを非難。こうして、ベナズィールとタリバンの関係は決定的に悪化しましたが、ベナズィールの退陣後も、パキスタンによるタリバン支援は継続され、1996年9月、タリバンはカブールに入城することになります。

 さて、ベナズィール暗殺後の選挙は、彼女の弔い合戦の様相を呈し、2008年1月の投票では、彼女の長男で当時19歳のビラーワルを新総裁に、その父親(つまり、ベーナズィールの夫)のザルダーリーを総裁代行に据えたパキスタン人民党が第一党を獲得し、同年7月、ザルダーリーが大統領に就任します。ちなみに、ザルダーリーは、ベーナズィール内閣で閣僚を務めましたが、関連予算の10%を常に着服しているとされ、“ミスター10%”と呼ばれていた人物。汚職で有罪判決を受け、1996~2004年まで8年にわたって獄中生活を送っていたこともあります。

 その彼が、ベーナズィールを“殉教者”に仕立て上げ、大統領のイスに座っていることに対しては、当然のことながら、パキスタン国内でも根強い批判があるわけで、そのことがますますパキスタン情勢を不安定しにているという面は否定できないと思います。

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