内藤陽介 Yosuke NAITO
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 目隠しで居座り
2010-07-13 Tue 10:36
 おととい(11日)の参議院選挙で落選した法務大臣の千葉景子が、議員としての身分を失った後も“民間人”として閣僚の座に居座り続けるのだそうです。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      裁判所制度100年

 これは、1990年11月1日に発行された“裁判所制度100年”の記念切手で、最高裁に置かれている“正義(の女神)像”が描かれています。

 正義の女神(ギリシア神話のテミス、 ローマ神話のユスティティア)は天秤と剣を持つ姿であらわされますが、これは、天秤によって正邪を測る“正義”を、剣によって法を執行するための“力”を象徴したものです。なお、正義の女神像といえば、現在では、先入観にとらわれず万人に平等に法を適用するものとして目隠しの姿で描かれるのが一般的ですが、これは主として19世紀以降のスタイルで、それ以前は目隠しをせず、目をつぶった姿の像がしばしば作られていました。今回ご紹介の切手も女神は目隠しをしていませんので、古いスタイルを踏襲したものといえそうです。ちなみに、正義の女神像は法務大臣室にも飾られています

 さて、落選後も、正義の女神像のある大臣室に居座り続ける千葉ですが、彼女の過去の経歴や政治活動、特に、法相としてやってきたことなどを見ると、有権者が彼女にNOを突きつけたのは当然なことのようにも思われます。

 千葉については、学生時代に成田闘争の女性闘士として火炎瓶を機動隊へ投げつけ、数名の警察官を死傷させたという噂が広く人口に膾炙しています。その真偽はともかく、彼女が北朝鮮による拉致事件の実行犯で、韓国で逮捕され、死刑判決を受けて服役していた辛光洙の釈放嘆願書に署名したことはまぎれもない事実であり、彼女が左翼過激派集団に対して甘い傾向を持っているのは間違いなさそうです。もちろん、そうした彼女のことですから、1999年の「日の丸・君が代を国旗・国歌とする法律(国旗及び国歌に関する法律)」には反対票を投じています。現在、法務省には日章旗は掲げられていないのでしょうか。

 また、前回、彼女が議席を獲得した2004年7月の1参院選では、選挙運動の過程で、労働組合による票のとりまとめのための買収工作があったとして、関係者が逮捕され、懲役1年6月・執行猶予5年の有罪判決を受けていますから、政治と金の問題に関しても、相当胡散臭い人物であるといってよいでしょう。

 さらに、法相就任後は、死刑制度に反対の立場から死刑の執行を停止しています。彼女が個人的にどのような思想信条をもっていようと、そのことじたいは勝手でしょうが、死刑制度が現実に存在している以上、制度の存在意義をその責任者たる法相自らが否定するような言動をとるというのは、職務放棄以外の何物でもありません。

 くわえて、千葉は、いわゆる従軍慰安婦問題では、すでに1965年の日韓基本条約で解決済みの個人補償問題を蒸し返して元慰安婦と称する女性への補償を求めており、じっさい、2002年には国会の場でも、日本政府の『従軍慰安婦への賠償並びに財産及び請求権の問題は日韓基本条約とサンフランシスコ平和条約で法的に解決している』という見解に強い憤りを表明し、慰安婦の名誉と尊厳の回復を政府が積極的に行うべきだと主張しています。

 このほか、最高裁で憲法違反と判断された外国人地方参政権の実現には異常なまでに熱意を示し、不法入国・不法滞在の外国人には寛大な姿勢をとることでも知られています。たとえば、野党議員時代の2009年3月には、参議院法務委員会において、他人名義のパスポートにより日本に不法入国した家族に対して、強制送還をせずに、一家全員を日本に在留させる特別措置をするよう森英介法相に求めているほか、法相就任後の同年10月には、最高裁から中国残留孤児と血縁関係がないと判断され、大阪入国管理局から国外退去を命じられていた姉妹に対して、法相の権限で在留特別許可を認めています。そうした不法入国・不法滞在者の一部が、生活保護を詐取して問題となっていることは広く知られているとおりです。

 これだけ見ても、彼女が法相として不適格であることは明らかなわけで、有権者が彼女に対する不信任を突きつけたのも当然のことといえます。もちろん、制度上、民間人が閣僚を務めることは可能なわけですが、現職閣僚の落選というのは、閣僚に対するリコール制度のないわが国では、その閣僚に対する国民の不信任の意思を示したものとして、重く受け止めるべきものではないでしょうか。

 そういえば、最高裁に飾られている正義の女神像は目をつぶっただけですが、法務大臣室の女神像にはしっかりと目隠しがされているそうです。その目隠しが、先入観や偏見を排するとの美名の下、民意を無視し、大臣の椅子に居座り続けるためのものになっているというのは、なんとも困った話です。


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この記事のコメント
#1738 千葉のクビを切れない菅直人
前々から何かと評判の悪い千葉でしたが、参院選の開票速報で千葉落選の報は逸早く“吉報”“嬉しいニュース”としてネットを駆け巡っていました。私も千葉落選の報を聞いて思わず快哉を叫びましたが、菅は9月までは法相として閣僚に残すと聞いてガッカリです。法相として有能ならまだしも、元々その経歴や思想信条が法相として全く不適格な千葉のクビを切ろうとしない菅は理解出来ません。9月にまとめて内閣改造をやるからというのが表向きの理由ですが、穿った見方をすれば自らも辛光洙の釈放嘆願書に署名した過去がある菅は千葉に何らかの負い目かシンパシーがあるとしか思えません。それにしても、これからは法相にしようとする人物、なろうとする人物は能力云々の前に最低でも死刑廃止論者でない人物を選ぶべきです。過去にも自らの思想信条で就任中に1人も死刑執行を行わなかった法相がいましたが、死刑執行命令書に署名しハンコを押すのは法相の仕事です。その仕事を拒否するなら仰るようにそれは職務放棄以外の何物でもありません。
2010-07-14 Wed 10:27 | URL | アルファ #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
#1739 管理人のみ閲覧できます
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2010-07-15 Thu 22:12 | | #[ 内容変更] | ∧top | under∨
 アルファ様

》死刑執行命令書に署名しハンコを押すのは法相の仕事です。

 もしも、僕を“1日法務大臣”に任命してくれるのなら、本人が犯行を認めており、再審請求も出されていないにもかかわらず、死刑が執行されていない死刑囚全員について、それが何十人いようとも、即座に死刑執行のサインをするのに…と常々思っています。

 裁判員にしても、極悪非道な犯人に、直接「死刑」と言い渡せるのなら、ぜひ、引き受けたいところです。

 こういう人間からすると、死刑執行の権限がありながら、その仕事を全くやろうとしない人は、なぜ、法務大臣を引き受けたのか、不思議でなりません。
2010-07-19 Mon 23:46 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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