内藤陽介 Yosuke NAITO
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 旧南方占領地の戦後史(1)
2005-06-17 Fri 01:29
 明日(18日)と明後日(19日)の二日間、東京・目白の<切手の博物館>(地図等はhttp://yushu.or.jp/museum/index.html をご覧ください)にて、(財)日本郵趣協会の登録審査員によるワンフレーム展(難しいことをいうといろいろあるのですが、まぁ一言で言えば、切手の専門家によるミニコレクションの展示会、とお考えください)が開催されます。

 僕は、この展覧会には「旧南方占領地の戦後史」と題する小品を出品します。内容は、太平洋戦争中、日本が占領していた東南アジア地域が、戦後、どのような歴史をたどったのか、切手や郵便物で見てみようというものです。

 10月末に東京・池袋のサンシャイン文化会館で開催の全国切手展<JAPEX>で、戦後60年にちなみ、“1945年”という企画展示をやるのですが、今回の展示はその一部の試作プレビューです。

 で、展示用のディスプレイの形に加工した“作品”は、既に、郵趣協会の事務局に納めてしまったのですが、その中からいくつか、面白そうなモノを何日かに分けてご紹介していきたいと思います。

 第1回目の今日は、終戦直後のペナン(マレーシア)での航空郵便のカバーです。

ペナンのカバー

 1945年9月、日本の敗戦に伴い、イギリスはマレー半島に再上陸し、軍政が施行されました。しばらくすると、終戦とともに一時停止されていた海外宛の郵便取扱も再開されますが、当初は必要な切手の配給が間に合わず、切手の代わりに、料金を収めたことを示す印を押して対応するということも行われました。このカバーもその一例で、1945年10月、ペナンからアイルランド宛に差し出されたものです。料金を納めたことを示すのは、右側の黒い印ではなく、その左の(残念ながら半欠けになった)赤い印です。

 封筒は、1937年のイギリス国王の即位の記念に作られたモノを引っ張り出してきて使っています。国王夫妻の肖像を掲げ、イギリス支配の復活を歓迎するという意思を差出人が示そうとしたものと思われます。

 インドネシアやフィリピン、ベトナム等と異なり、マレー半島の独立は、戦後間もない時期にはほとんど問題とされませんでしたが(マレー人が独立を望まなかったということではなく、イギリス側がマレーの独立について検討する気が全くなかったためです)、そうした状況が反映されたようなカバーといってよいでしょう。

 ちなみに、ペナンを含むマレーで、戦前の切手にイギリス軍政をしめす“BMA(British Military Administration)”の文字を加刷した新切手が発行・使用されるようになるのは、1945年11月以降のことでした。
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