内藤陽介 Yosuke NAITO
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 乙支文徳
2010-08-16 Mon 23:00
 北朝鮮のミサイル攻撃や潜水艦による侵入などを想定し、主にコンピューター上で米韓両軍の連携や指揮命令系統の確認を行うための定例の米韓合同軍事演習“乙支フリーダム・ガーディアン”が、きょう(16日)から韓国各地で始まりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      薩水の戦い     薩水大勝・原画


 これは、1982年6月15日に韓国が発行した「歴史絵画シリーズ」第1集のうち、“乙支文徳将軍の薩水大勝”を取り上げた切手とその原画です。

 西暦612年、隋の煬帝は大軍を率いて第二次高句麗遠征を行いました。このとき、高句麗の将軍だった乙支文徳は嬰陽王の命を受けて、隋軍の内実を探るために偽りの投降を行ない、隋軍の兵士たちが餓えていることを察知して隋軍を抜け出します。そして、隋軍が追ってきたところを、1日に7回戦ってその度にわざと負けて敵を誘い込みます。そして、敵将・于仲文に対して、撤兵すれば高句麗の王を隋の皇帝の仮御所に連れていくといって再び偽りの投稿を行い、隋軍が薩水(現在の北朝鮮の清川江)を渡って戻ろうとしたところを攻撃し、隋軍に壊滅的な打撃を与えたとされています。今回の絵画は、その時の模様を再現したもので、原画の写真は、ソウルの戦争記念館で撮影しました。

 この薩水大勝により、朝鮮半島では、南北を問わず、乙支文徳は外敵の侵入から祖国を守った英雄として尊敬を集めることになりました。今回の軍事演習に“乙支”の語が入っているのも文徳将軍にちなんだものです。

 今回の演習に関して、北朝鮮は、例によって、「朝鮮半島と北東アジアの平和と安定を破壊し、核戦争の火を放つ重大な軍事挑発だ」と非難し、朝鮮人民軍総参謀部も「無慈悲な鉄槌を下す」と警告しているそうです。もっとも、乙支文徳の偽りの投降ならぬ、偽りの核廃棄の約束を繰り返したうえ、結局は核武装し、天安艦事件を引き起こしたのは北朝鮮の方ですからねぇ。客観的に見れば、鉄槌を下されるべきはどちらなのか、明々白々ですな。


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この記事のコメント
北朝鮮が韓国やアメリカを非難する際に用いる威勢のいい常套句は今や殆どギャグと化しています。吉本新喜劇で池乃めだかがボコボコにされた挙句に「今日はこのぐらいにしといたる」と言う有名なギャグがありますが、北朝鮮の常套句もそれに似ています。「ソウルを火の海にしてやる」「無慈悲な鉄槌を下す」随分前から同じセリフを聞いていますが、一向に北朝鮮が実行に移した事はありません。本当に実行に移せば「無慈悲な鉄槌」は北朝鮮に下り、「火の海」になるのはソウルではなくピョンヤンなのを北朝鮮自身が一番よく知っているからでしょう。昔から「弱い犬ほどよく吠える」と言いますから、“口だけ大将”の北朝鮮には精々吠えていて貰いましょう。
2010-08-17 Tue 10:09 | URL | アルファ #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
・アルファ様

 まぁ、瀬戸際外交というのは一種のチキンレースですから、「やるぞ、やるぞ」とぎりぎりまで脅かすのが要諦ですからねぇ。実際にやってしまったら谷底に落ちるのは彼らもわかっているのでしょう。

 とはいえ、連中が核をもっているのも事実です。キチガイに刃物という言葉は、キチガイがいつ暴発するのかわからない怖さがあることは、十分に認識しておかないといけないでしょう。
2010-08-19 Thu 10:20 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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