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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手に描かれたソウル:昌徳宮
2010-10-21 Thu 10:27
 ご報告が遅くなりましたが、『東洋経済日報』10月15日号ができあがりました。僕の連載「切手に描かれたソウル」では、今回は昌徳宮を取り上げましたが、きょうはその中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      昌徳宮の門    昌徳宮・入場券

 左の切手は、1995年に発行された“韓国の美”シリーズのうち、王の不老長寿を祈ってつくられたという不老門と、宙合楼の魚水門が取り上げられた切手で、右の画像は昌徳宮の入場券です。昌徳宮の切手といえば、2001年に発行された“世界遺産”の切手を持ってくるのが王道なのでしょうが、入場券に宙合楼と魚水門が取り上げられていますので、比較のためにこちらを持ってきました。

 韓国でもっとも有名な紅葉の名所・雪岳山は、そろそろ、紅葉がピークを迎える頃です。例年、ソウル市内の紅葉は雪岳山の紅葉がピークを迎えるころから始まり、2週間ほどでピークを迎えるというから、今年も11月初めがソウル市内の紅葉の見ごろということになるのでしょう。

 韓国で紅葉の名所といえば、まずは雪岳山、ついで北漢山ということになるのでしょうが、ソウル市内で僕が目をつけている紅葉スポットは昌徳宮です。

 昌徳宮は李王朝時代の1405年、正宮である景福宮の離宮として建てられました。

 1592年の“文禄の役”の際、国王が漢城から逃亡した後、秀吉軍の入城前に朝鮮の民衆によってソウルの宮殿は昌徳宮を含めてすべて焼失しましたが、その後、昌徳宮は1615年に再建され、1865年に景福宮が再建されるまで、王の在所となっていました。

 このため、韓国国内に現存する宮殿のうち、創建時の姿に最も近い宮殿といわれています。たとえば、正門にあたる敦化門は1609年に再建されたものですが、韓国に現存する宮殿の正門としては最古のものとされていますし、敦化門の先にある錦川橋は太宗の時代の1411年につくられたものでソウルに残る最古の石橋のひとつといわれています。また、国王が執務をしていた宣政殿は、1647年に再建されたものだが、現在の宮殿に残っている唯一の青瓦の建物です。

 景福宮が再建された後は、ふたたび、離宮の扱いとなり、1910年の日韓併合後は最後の皇帝となった純宗の住まいとなりました。

 朝鮮式庭園の最高傑作として名高い秘苑は、もともとは離宮の後ろにあることから“後苑”と呼ばれていましたが、1623年に再建されたときには昌徳宮が“禁裏”となっていたため、その庭園という意味で“秘苑”と呼ばれるようになったものです。
 
 広大な園内には自然の地形にあわせて多くの東屋や人工池などがありますが、最も有名なのは芙蓉池と宙合楼でしょう。

 宙合楼は、国の将来を担う人材を育てるために学問を研究し、書籍を出版していた2階建ての楼閣で、1階部分は本の収蔵場所として、2階は読書室として使われていました。しばしば観光パンフレットの写真などにも用いられているから、見おぼえがあるという読者もあるかもしれません。

 さて、昌徳宮はユネスコの世界文化遺産にも登録されているくらいですから、季節を問わず、いつでも見る価値はあるのですが、チケットに印刷されている写真は、紅葉の時期の宙合楼(画面手前に見えるはずの芙蓉池はバーコードで隠れています)です。ということは、昌徳宮側としては、秋に訪れるのが一番のお勧めということなのだと思われます。

 ところが、意外なことに、昌徳宮が切手に取り上げられる場合、どういうわけか紅葉の時期のモノはないのです。すなわち、2001年に発行された“世界遺産”の切手では、便殿・宣政殿・玉座の組み合わせと、正殿・仁政殿の組み合わせの2種類の切手が発行されていますが、背景の木々は青々としている。また、昌徳宮を取り上げた最初の切手、つまり、1964年5月25日に発行された“観光シリーズ”の秘苑の切手でも、取り上げられているのは木々が青々と茂った初夏から夏の風景です。さらに、今回ご紹介の切手では、紅葉を通りすぎてしまって、雪景色が取り上げられています。

 ソウルの秋は短く、駆け足で過ぎていくと言われるが、その短い秋にタイミングをあわせて切手を発行するのが難しいがゆえに、昌徳宮の切手も夏か冬の景色になってしまうということなのかもしれません。
 

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