内藤陽介 Yosuke NAITO
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 外国切手の中の中国:カナダ
2005-12-16 Fri 21:21
 NHKラジオ中国語講座のテキスト1月号が送られてきました。同誌に連載している「外国切手の中の中国」では、今月は、1990年代以降のカナダを取り上げています。

 カナダは、近年、ユニークな年賀切手を発行していることで知られており、それらを単純に並べてみるだけでも、1月号の企画としては、なかなか楽しいのではないかと思います。とはいえ、やはり、年賀切手を並べているだけでは読み物としてはつまらないので、僕なりにちょっとひねりを効かせて、こんな切手も取り上げてみました。

香港のカナダ兵

 この切手は、1991年、「第二次大戦50年」シリーズのひとつとして1941年の出来事を特集したもので、右下には香港のカナダ兵が取り上げられています。

 1939年に第二次大戦が勃発すると、カナダはただちに英連邦の一員として参戦し、ドイツ・イタリアと戦っています。そして、1941年の日英開戦直前には香港防衛のためにカナダ軍3個大隊が派遣され、同年末の香港陥落後、日本軍の捕虜となり苦難の生活を強いられました。

 それゆえ、香港のカナダ兵が「第二次大戦50年」の切手に取り上げられても、そのことじたいは不思議でもなんでもありません。ただ、この切手では、具体的な固有名詞として、ヨーロッパ戦線の出来事が登場せず、香港のみが取り上げられているのは、やはり目を引きます。

 1980年代後半から、カナダには、共産中国への“返還”をきらった富裕層が香港から大量に流入。それに伴い、バンクーバーがホンクーバーと揶揄されるほど、中華系の影響力は急速に高まっていきます。香港のカナダ兵の切手も、こうした背景の下、香港とカナダの歴史的な結びつきを強調することで、中華系住民と白人系住民との宥和をいっそう進めようという意図を込めて発行されたと考えるのが自然なように思われます。

 その後、カナダ社会における中華系住民のプレゼンスはますます強まり、そのことが、年賀切手の発行へとも繋がっていくわけですが、その辺の詳しい事情については、18日に発売の「NHKラジオ中国語講座」のテキスト1月号の僕の記事をお読みいただけると幸いです。
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