内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切り取られた国王
2005-12-20 Tue 14:24
 アフガニスタンの議会が招集され、2001年のタリバン政権崩壊後、米国や国連の後押しで進められた“政治復興プロセス”が、一応は完了したそうで。なんでも、アフガニスタンでの議会の復活は、1973年の無血クーデター以来32年ぶりだとか…。というわけで、アフガニスタンがらみのものとして、今日はこんなカバー(封筒)をご紹介します。(画像はクリックすると拡大されます)

 アフガン切り取りカバー

 一見するとなんということのないカバーですが、貼られている切手にご注目ください。左側が切り取られているのがお分かりでしょうか。実は、この切手、もともとはこんな感じだったのです。
 
アフガン国王の閲兵

 1973年、アフガニスタンでは無血クーデタが発生し、国王ザヒル・シャーは退位を余儀なくされ、従弟のムハンマド・ダーウードを大統領とする共和政権が発足します。その後、ダーウード政権は1978年に起こった軍事クーデタで倒れ、アフガニスタンには人民民主党(共産党)政権が誕生しました。

 ダーウード政権は王制を打倒して発足したとはいえ、ダーウード本人も王族の出身でしたから、彼の時代には王制時代の切手もそのまま使うことはできました。しかし、人民民主党政権は、共産政権の常として旧王族への敵意をむき出しにし、国王の肖像が描かれた切手を使う場合には、国王の肖像部分を切り取らせてから郵便物に貼らせています。

 このカバーに貼られている切手は、もともと1972年の独立記念日に発行されたもので、国軍のパレードを閲兵する国王夫妻の肖像が描かれていたため、上の画像のように、肖像部分を切り取って使われたというわけです。

 アフガニスタンというと、切手をかじったことのある人だと19世紀の切手(ライオンの顔を描いた円形のユニークなもの)に興味を持つ人が多いと思うのですが、実は、1970年代以降の混乱期の郵便史も本気で取り組めばかなり面白そうです。まぁ、実際にモノを集めるとなると相当にしんどいでしょうが…。

 2002年に刊行した拙著『中東の誕生:切手で読み解く中東・イスラム世界』(http://www.yuzankaku.co.jp/takeuchi/t-syakai-kyouiku.htm)では、とりあえず、今日のカバーを含めてアフガニスタンの近現代史を語る切手や郵便物をまとめてみましたが、いずれは、図版を充実させて改訂版を出したいところです。
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