内藤陽介 Yosuke NAITO
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 東エルサレム
2011-01-24 Mon 21:58
 カタールの衛星放送アル・ジャズィーラが、きのう(23日)、2008年6月の中東和平交渉で、パレスチナ側が、東エルサレムのユダヤ人入植地の大半をイスラエル領に併合することを認める譲歩案を提示していたと報じました。というわけで、きょうはこんなモノをもってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        エルサレム切手・返戻便

 これは、1968年にイスラエルがエルサレム旧市街を題材に発行した切手のポーランド宛の書留航空便ですが、差出人戻しになっています。

 イスラエル側から見ると独立戦争ともいうべき1948年の第一次中東戦争の結果、イスラエルは西エルサレムを領土として確保しましたが、ユダヤ教・キリスト教・イスラムの三宗教の聖地であるエルサレム旧市街を含む東エルサレムとヨルダン川西岸地区はトランスヨルダンが領土として併合し、トランスヨルダンは現在のヨルダン・ハシミテ王国となりました。

 その後、1967年の第3次中東戦争の結果、イスラエルは東エルサレムとヨルダン川西岸地区を占領しましたが、この戦争がイスラエル側の先制奇襲攻撃ではじまったことから、イスラエルによる占領地拡大の正統性については、アラブ諸国はもとより、社会主義諸国や中立諸国なども懐疑的で、1967年11月の国連安保理では、占領地域からのイスラエル軍の撤退を要求する決議が採択されました。

 これに対して、エルサレム全域を支配下に置いたイスラエルは、テルアビブからエルサレムへの“遷都”を宣言しましたが、上記のような理由で、国際社会は、イスラエルによる東エルサレムの占領を認めておらず、必然的に、エルサレムを“首都”とするイスラエル側の主張も認めていません。このため、在イスラエルの外国大使館は、従来どおり、テルアビブにおかれるのが慣例となっています。

 以前、第3次中東戦争でのイスラエル側の“勝利”を認めない東ドイツが、イスラエルの戦勝記念切手を認めず、差出人戻しとしたカバーをご紹介したことがありますが、それはこうした文脈によるものです。今回ご紹介のカバーには、拒絶を意味する“REFUSE”の印が押された後、塗りつぶされ、宛先人不明を意味する“INCONNU”の印が押されて、差出人戻しになっています。これが、上記のような政治的理由によるものなのか、ただ単に差出人の所在不明によるものなのか、そのあたりが断定できないのがちょっと残念です。

 現在、パレスチナ自治政府は東エルサレムを将来の独立国家の首都と決めており、イスラエルとの“最終地位交渉”でその帰属問題を話し合っているわけですが、今回の報道が仮に事実だったとすると、パレスチナ住民の反発を招くことは必至です。このため、自治政府側は報道の否定に躍起となっているようですが、しばらくこの問題は尾を引きそうですな。


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