内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界漫郵記:ハバロフスク②
2011-01-31 Mon 10:13
 ご報告が遅くなりましたが、『キュリオマガジン』2011年2月号が出来上がりました。僕の連載「郵便学者の世界漫郵記」は、極東ロシア・ハバロフスク篇の2回目。今回は、ハバロフスクの地を獲得したムラヴィヨフ=アムールスキー像について取り上げました。というわけで、記事の中から、こんなモノをご紹介します。(以下、画像はクリックで拡大されます)

       ムラヴィヨフ=アムールスキー(切手つき封筒)

 これは、2009年、ロシアが発行したムラヴィヨフ=アムールスキー生誕100周年記念の切手つき封筒です。

 ハバロフスク市内のアムール川の手前はちょっとした丘になっていて、この丘の上から川岸までのスペースに、ハバロフスク市内で最も古い公園“文化と休息の公園”が設けられています。その園内には、ウチョース(絶壁)と呼ばれる展望台があり、アムール川を一望できるのですが、川を睥睨するかのようにニコライ・ニコラエヴィチ・ムラヴィヨフ=アムールスキーの巨大な銅像が立っています。(下は、その銅像の画像です)

        ムラヴィヨフ=アムールスキー像

 ムラヴィヨフ=アムールスキーは1809年8月、帝政ロシアの首都、サンクトペテルブルクに生まれました。

 1827年に陸軍中央幼年学校を卒業した後、軍人としてのキャリアを積み、1841年、陸軍少将で退役。その後、モスクワ南方のトゥーラ県知事を経て、1847年、38歳の若さで、エニセイ県知事兼東シベリア総督に任命されています。

 東シベリア総督としては、アムール川北辺やサハリン、カムチャッカ半島への探検を積極的に進め、1858年、アムール川を清朝とロシアの国境とするアイグン条約の締結に成功し、アムール川左岸をロシア領とするとともに、ロシアのアムール川航行を禁じたネルチンスク条約(1689年締結)を廃してアムール川経由での太平洋へのアクセス権を確保しました。“アムールスキー”との称はこの功績によるものです。さらに、1860年に清朝との間に締結した北京条約では、ウスリー地方と旧沿海州の南部がロシアの版図に加えられるなど、ムラヴィヨフ=アムールスキーが東シベリア総督を務めていた時代、極東におけるロシアの権益は多いに拡大しました。

 東シベリア総督の在任中、ムラヴィヨフ=アムールスキーはアムール川沿岸の植民を進めるため、バイカル湖東部のコサック(平時には農耕を行い、有事には軍務を行うことを条件に特権的な土地使用を認められた人々。またはその軍事的共同体)をこの地に移駐させるとともに、ザバイカル地方ネルチンスクの農民に鉱山労働を免除させる代わりに移住させ、アムール・コサックとして組織しました。

 その一方で、ムラヴィヨフ=アムールスキーは、当時としては自由主義的な思想の持ち主で、外国人や政治犯らとも親交があったこともあり、彼が外国勢力と結び、兵力を集めてシベリアの独立を企てているとの懸念が帝都ペテルスブルクでは根強かったようです。

 1861年、彼は東シベリア総督を辞し、国家評議会の議員となり、1863年の第2次ポーランド蜂起の鎮圧を指揮した後、1868年にパリに移住。1881年にパリで亡くなりました。

 極東におけるロシアの領土を大幅に拡大した英雄として、ムラヴィヨフ=アムールスキーの肖像はロシアの現行5000ルーブル紙幣に印刷されているほか、彼を記念した地名が各地に残っています。ウラジオストクのある半島がムラヴィヨフ=アムールスキー半島と呼ばれているのはその典型です。

 ハバロフスクの展望台に設置されているのは、19世紀ロシアを代表する彫刻家、アレクサンドル・オペクシンの作品。アイグン条約を示す文書を持ち、腕を組んだ姿で、彼の銅像といえばこれが一番有名でしょう。この銅像は、1891年に現在の場所に建てられましたが、ソ連成立後の1929年に帝政時代の遺物として撤去され、代わりにレーニン像が設置されました。しかし、ソ連崩壊直前の1989年、レーニン像は撤去され、ムラヴィヨフ=アムールスキーの銅像が元の場所に再建され、現在にいたっています。

 ちなみに、ムラヴィヨフ=アムールスキー像は、アムール州の州都でアムール・コサックの拠点となったブラゴヴェシチェンスクにも、異なったポーズのものが置かれており、こちらも切手に取り上げられています。今回の連載記事では、ハバロフスクとブラゴヴェシチェンスクの像を並べて取り上げておりますので、よろしかったら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。

 * 第2回“テーマティク出品者の会”切手展は、昨日(30日)、盛況のうちに無事終了いたしました。御参観いただきました皆様には、あらためて、お礼申し上げます。

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