内藤陽介 Yosuke NAITO
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 マプート郵便局訪問記・補遺
2011-03-02 Wed 23:53
 ご報告が遅くなりましたが、雑誌『郵趣』3月号が出来上がりました。僕は「南アフリカ&モザンビーク郵趣事情」と題して、昨年の南アフリカおよびモザンビーク旅行で見聞きしたことをレポートとして寄稿しました。きょうは、そのうちの「マプート中央郵便局訪問記」について、補足しながらご紹介したいと思います。(以下、画像はクリックで拡大されます)

      マプート中郵外観     マプート局入口

 画像左はマプートの中央郵便局の外観で、右はその入り口部分の写真です。建物は、ポルトガル領ロレンソマルケス時代の雰囲気が色濃く残っていますが、外壁の塗装は近年になって塗り直されており、長年にわたって続いた内戦の時代の痕跡は、郵便局に関する限りは感じられません。なお、右の写真の中央の入口から、“LOJA POSTAL”と表示されたブースが見えると思います。そのブースを局内に入って撮影したのが下の画像です。

      マプート中郵内売店

 このブースは局内の売店で、文房具類などと一緒に輸出用の“いかがわしい切手”の類も販売していました。ちなみに、売店の脇には、この売店で売っている“いかがわしい切手”をリーフにまとめて、こんな感じで展示していました。

      マプート中郵の“いかがわしい切手”

 さっそく、売店の店員に「ここで売っている切手を貼って郵便を出したいのだが…」と尋ねてみたのですが、店員は「郵便を出すのなら郵便の窓口へ行ってくれ」と返答。そこで、「この切手は郵便には使えないのか?」と訊いてみたところ、「フィラテリーだから使えない。郵便に使う切手は郵便の窓口で買ってくれ」との返事でした。「それでは、フィラテリーの切手を売っているくらいだから、モザンビーク切手のカタログはあるのか」とも訊いてみましたが、「モザンビークでは切手のカタログは出していない。たしか、アメリカかドイツで世界の切手カタログが出てるはずだから、必要なら、そっちを見てくれ」と言われて、あえなく撃沈されてしまいました。
 
 「そういうことなら…」と、気を取り直して郵便の窓口に行き、日本宛に書留便を出したいと言ってみました。その際、売店の方を指さして「あそこで売っている切手を封筒に貼ってはいけないのか?」と訊いてみましたが、女性局員いわく「封筒に貼るのは構わないけど、あっちの切手はフィラテリーだから、料金は別にこちらの切手で払わないといけません」とのこと。どうやら、海外の郵趣エージェントが企画した“いかがわしい切手”は、モザンビークの場合、郵政当局からも正規の切手とはみなされていないようです。

 さて、日本宛ての書留料金は、232MT(モザンビークの通貨単位は、単数形でメティカル、複数形でメティカス。ただし、ネイティヴの発音だと“メティカシュ”に聞こえます)。1MTが3~4円でしたから(ただし、日本円からの両替はできず、米ドルかユーロ、南アのランドからしか両替できませんでした)、1通700円前後という勘定です。なお、モザンビークでは、2006年7月1日、1000分の1のデノミを行い、旧1000MTが新1MTになりましたが、現在なお、新旧両通貨の切手が混用されています。

 モザンビークの物価からすると、記念のために232MTもの書留便を気前よく差し出す日本人というのは上客のようで、窓口の女性局員は「素敵な切手を選んで貼りましょう」と上機嫌です。彼女が差し出してくれた切手は、モザンビークの民家と動物、大統領が外国要人と握手している場面、SLの4種類でしたが、このうち、SLの切手は、以前は“フィラテリー”として売られていたと思しきモノに新額面を加刷したものでした。また、動物の切手は、“フィラテリー”といわれても違和感のないデザインです。(下の画像は、女性局員が切手を張った封筒を処理している場面です)

      マプート中郵・女性局員

 そこで、「“フィラテリー”の切手と郵便で使う切手はどう見分けるのか?」と訊いてみたのですが、彼女の答えは「この窓口で売っているものは郵便に使えるけれど、あの売店で売っているものは“フィラテリー”で郵便には使えません」の一点張り。どうやら、当人たちにも両者の区別がきちんとついていないようで、“フィラテリー”の切手を貼ってポストに差し出したら、案外、そのまま通ってしまうのかもしれません。

 消印の押印作業で興味深かったのは、高額の切手を貼っていたせいか、書留の原符と切手を張った郵便物を割り印にしていたことです。やはり、高額切手の場合は、途中で切手を剥がしてしまう“事故”が多いということなのでしょうか。

 かくして、差出からほぼ2週間後、わが家に届いたカバーが下の画像です。

      マプートからの実逓便     マプートからの実逓便(裏)

 昨年刊行の拙著『事情のある国の切手ほど面白い』では、いわゆる“いかがわしい切手”(国外の収集家の懐を狙った輸出用のトピカル切手で、実際に郵便に使用することがほとんど想定されていない切手)について、簡単にまとめてみたのですが、モザンビークでの体験は、その実態の一端に触れることができたという点で、実に有意義なものでした。

 なお、これ以外にも、マプートでは旧ロレンソマルケス時代の痕跡を訪ね歩いて、いろいろと興味深い体験をすることができました。いずれ、激動のモザンビーク近現代史についての記述も加えて、『ロレンソマルケス物語』と題して1冊の本にまとめられたらなぁ…と漠然と考えている今日この頃です。
      
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この記事のコメント
モザンビークの切手もよく安いパケットに入ってますね。カバーに貼られたSLの切手も以前鉄道切手のパケットから出て来た事があります。それにしても、現地ではこの種の“いかがわしい切手”は実際には使えないんですね。これは遥か遠いモザンビークまで行かないと分からない発見ですね。やはり“いかがわしい切手”は輸出用、外貨獲得用なんですね。我が国も最近はやたらとシールのような“いかがわしい切手”を乱発するようになりましたが、願わくば「あれはフィラテリーだから使えない」なんて事にならないようにして欲しいものです。
2011-03-03 Thu 10:02 | URL | アルファ #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 ・アルファ様
 モザンビークでの体験を友人に話したら、「郵政に変な知恵をつけるようなことは、あんまり書かないでくれ」とたしなめられたことを思い出しました。
2011-03-06 Sun 21:35 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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