内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 信楽高原鐵道事故から20年
2011-05-14 Sat 22:48
 42人が死亡し、614人以上が負傷した信楽高原鐵道(以下、高原鐵道)列車衝突事故が1991年5月14日に発生してから、ちょうど20年となりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        世界陶芸祭

 これは、1991年4月19日に発行された「世界陶芸祭」(以下、陶芸祭)の記念切手です。

 世界陶芸祭は、滋賀県甲賀郡信楽町の「県立陶芸の森」が完成記念イベントして、1991年4月20日から、「語り、創り、燃える。陶芸ルネッサンスをめざして。」をテーマに開催され、内外20ヵ国以上の陶芸を中心とした展示・シンポジウムなどが行われました。

 切手に取り上げられたのは、陶芸祭に置いて開催された「土をうたう―ちえおくれの人達の世界展」に出品された戸次公明(第二びわこ学園)の作品で、背景の虹は“友愛の情”を表現しています。なお、陶芸祭の会期初日にあたる4月20日は土曜日でしたので、切手は前日の19日に発行されました。

 さて、陶芸祭は開催前から非常な人気を呼んでいたため、観光客を輸送する対策として、高原鐵道とJR西日本との直通快速列車が運行されることになり、高原鐵道線の中間地点に列車が行き違うための信号所が設置されました。しかし、高原鐵道とJR西日本の双方が互いに無断で信号の改造工事をしていたことにくわえ、事故前にも不具合が発生していたにもかかわらず、十分な対策が講じまられないままになっていました。

 こうした状況の下で、1991年5月14日10時35分頃、高原鐵道信楽線の小野谷信号場=紫香楽宮跡駅間で、信楽発貴生川行きの上り普通列車と京都発信楽行きのJR西日本直通下り臨時快速列車「世界陶芸祭しがらき号」が正面衝突。「世界陶芸祭しがらき号」は超満員の状態(通常の約2.5倍)であったこともあり、42名が死亡(JR側乗客30名、高原鐵道側乗客12名、職員5名)、614名が重軽傷を負う大惨事となりました。事故の直接の原因は、高原鐵道が、信楽駅での信号が赤にもかかわらず上り列車を発車させてしまったにもかかわらず、小野谷信号場の信号の誤出発検知装置が機能せず、同信号が赤信号にならなかったこと、「世界陶芸祭しがらき号」が同信号場で青信号のまま進入したためことによります。

 事故を受け、陶芸祭は会期を10日あまり残して中止されましたが、すでに発売された記念切手に関しては、その後も使用禁止などの措置が取られることはなく、現在でも有効です。

 事故を機に、鉄道事故としては初めての事故調査委員会が設置されました。その後、長年にわたる裁判を経て、今年4月27日、事故の責任割合を大阪地裁判決が「高原鐵道が7割、JR西が3割」と認定。両社が判決を受け入れ、事故から20年を経て、ようやく全訴訟が終結しました。きょうは、事故現場近くにある慰霊碑前で追悼法要が行われ、参加者は犠牲者の冥福を祈るとともに、事故の再発防止と公共交通の安全を願ったとのことです。

 さて、人間のやることに一定の割合で失敗や事故が発生するのは避けられません。しかし、それを教訓に、さまざまな改善策が講じられ、安全性が向上していくのであれば、事故の経験は決して無駄にはならないと思います。逆に、事故の教訓をその後に全く生かすことができなければ、事故の被害者・犠牲者は全く浮かばれません。

 福島原発の事故は、きっかけこそ地震による津波という自然災害でしたが、その後の政府や東京電力の対応のまずさから、結果的に人災という側面が強くなっていることは周知のとおりです。今後、原子力発電を続けるにせよ、徐々に止めていくにせよ、その教訓がどのように活かされていくのか、注目していかねばなりますまい。


  ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★

        切手百撰・昭和戦後
         切手百撰 昭和戦後
       平凡社(本体2000円+税) 

  視て読んで楽しむ切手図鑑!
  “あの頃の切手少年たち”には懐かしの、
  平成生まれの若者には昭和レトロがカッコいい、
  そんな切手100点のモノ語りを関連写真などとともに、オールカラーでご紹介

  全国書店・インターネット書店(amazonboox storeconeco.netJBOOKlivedoor BOOKSYahoo!ブックスエキサイトブックス丸善&ジュンク堂楽天など)で好評発売中! 
スポンサーサイト

別窓 | 日本:平成 | コメント:0 | トラックバック:1 | top↑
<< 『たんぶるぽすと』5月号 | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  強制収容所の元看守に禁固5年>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
陶芸教室のレッスンプログラムをまるごとあなたの自宅にお届けします。 …
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/