内藤陽介 Yosuke NAITO
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 イラン・ブシェール原発が稼働
2011-05-19 Thu 12:16
 イラン国営通信によると、きのう(18日)、イラン南西部のブシェール原発が稼働し、近く電力供給が始まるのだそうです。中東での原発稼働はこれが最初のケースです。というわけで、“ブシェール”といえば、やはりこの切手でしょうか。(画像はクリックで拡大されます)

        ブシェール占領加刷

 これは、第一次大戦中の1915年、イギリス占領下のブシェールで発行された加刷切手です。

 イラン南西部、ペルシャ湾に面したブシェールには、1856-57年のアングロ=ペルシャ戦争を経て、1864年5月1日に英領インド局が設置され、以後、ペルシャ領内でありながら、英領インド局が活動を展開していました。

 第一次大戦が勃発すると、イギリスはペルシャ湾からインド洋への制海権を確保するため、1915年8月8日、ブシェールを占領下に置き、同月15日、今回ご紹介しているような、イラン切手に“イギリス占領下ブシェール(BUSHIRE Under British Occupation)”と加刷した切手を発行し、使用しました。なお、第一次大戦以降、ブシェールは初期のインド行き航空路の中継地点となり、多くの飛行機がブシェールを経由しています。ちなみに、ブシェールの英領インド局が閉鎖され、ペルシャ郵政が業務を引き継いだのは、1923年4月1日のことでした。

 さて、ブシェール原発の計画は、パーレビ王政時代の1974年、ドイツ企業により建設が始まりました。しかし、計画は、1979年のイスラム革命で中断を余儀なくされ、1980年からのイラン・イラク戦争で建設途中の施設は壊滅的な打撃を受けます。

 イラン・イラク戦争後の戦後復興がある程度進むとともに、1991年の湾岸戦争で仮想敵国のイラクが敗北し、原発建設の障害がなくなると、1995年、イラン政府は中断していた原発建設をロシアの協力を得て再開します。当初、ブシェール原発は1999年に稼働開始の予定でしたが、再三延期され、今回、ようやく稼働開始にこぎつけたというわけです。

 ちなみに、先日の福島原発の事故を受けて、イランの宿敵であるイスラエルは原発建設計画の見直しを発表しましたが、イラン政府は、ブシェール原発を「最新の技術で建設されたもので全く問題はない」、「世界一安全な原発の一つ」と強調し、“脱原発”など一顧だにしていないようです。

 とはいえ、ブシェール周辺には活断層もありますから、原子炉がチェルノブイリのイメージが抜けないロシア製ということとあわせて、アラブ首長国連邦(UAE)をはじめ近隣諸国は、やはり、気が気じゃないでしょうな。


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