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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 イエメン、サレハ大統領が帰国
2011-09-23 Fri 23:46
 ことし6月の暗殺未遂事件で重傷を負い、サウジアラビアで治療していたイエメンのサレハ大統領が、きょう(23日)、およそ3ヶ月半ぶりに首都サヌアに帰国しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

         イエメン王党派・国際協力年

 これは、1965年にイエメン王党派政府が発行した国際協力年の記念切手で、国際協力年のシンボルマークを挟んで、左上にサウジアラビアのファイサル国王の、右上にイエメンのイマーム(君主)ムハンマドの肖像が掲げられています。

 1962年9月、イエメンでは、イマーム・アフマドの死に伴う政権交代の隙をつくかたちでクーデタが発生。伝統的なザイド派(シーア派の一派)イスラムに基づく王朝が倒れ、革命政権が樹立されたものの、王党派はサウジアラビアとの国境を越えた山岳地帯に逃れて抵抗を続けました。いわゆるイエメン内戦の勃発です。

 両派はともに自分たちがイエメンの正統政府であることを主張し、その一環として、それぞれ独自の切手を発行していましたが、このうち、王党派は、従来どおり“イエメン王国”と表示された切手を発行しつづけます。ただし、現実には彼らは事実上の亡命政権で、その根拠地となっている山岳地帯では郵便の利用者はほとんどなかったため、彼らの「切手」は、実際に郵便に利用するためのものというよりも、政治宣伝のための媒体としての色彩が強いものでした。

 さて、革命政権から支援の要請を受けたエジプトのナセルはイエメン内戦への介入を決断。エジプト軍を派遣し、革命政権への全面的支援を約束します。これに対して、保守派君主国の雄サウジアラビアは、エジプトに始まるアラブ民族主義の共和革命がついにアラビア半島へと上陸したことで深刻な脅威を感じ、王党派を支援。こうして、イエメン内戦はエジプトとサウジアラビアの代理戦争の様相を呈するようになります。

 今回ご紹介の切手は、こうした状況の下で、イエメン王党派が発行したもので、彼らの後ろ盾となっていたサウジアラビアの“国際協力”に感謝する意図が込められています。

 さて、今年1月のテュニジア・ジャスミン革命以来のアラブ民主化の流れのなかで、イエメンでも、ことし1月から反体制デモが続いており、大統領の帰国説が浮上した今月18日からは、治安部隊とデモ隊の衝突が再燃して約100人が死亡しています。今回の大統領の帰国により、辞任を求める反体制派のデモ激化など国内対立が深刻化するのは必至で、内戦突入の危機さえささやかれています。

 仮に内戦突入となった場合、今回もまた、両派がそれぞれ別個に切手を発行するようになるのかどうか、個人的にはそのあたりが気になりますな。


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