内藤陽介 Yosuke NAITO
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 臨時中立の龍
2012-01-03 Tue 20:44
 辛亥革命の結果、1912年1月3日に中華民国臨時政府が正式に発足して、きょう(3日)でちょうど100年です。というわけで、今日はこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        臨時中立

 これは、辛亥革命期のいわゆる“臨時中立”加刷の切手です。

 辛亥革命と中華民国の建国に関しては、しばしば、「1912年1月1日、中華民国が成立した」という表現が見受けられます。しかし、1912年1月1日は、あくまでも孫文一派が南京で勝手に中華民国の成立を宣言し、孫文がその臨時大総統に就任するための専制を行ったというだけで、中華民国(臨時)政府にはまだ実態はありませんでした。臨時政府が曲りなりにも組織としての形式を整えるのは、1月3日に各省代表が黎元洪を臨時副総統に選出し、孫文が提出した臨時政府の閣僚名簿(大臣に相当する各部総長と次官に相当する次長名簿)を承認してからということになります。なお、この間、1月2日には、孫文の名義で各省に対して、従来の陰暦を廃止し、1912年を元年とする太陽暦を“中華民国暦”として採用するとの通達が発せられています。

 ただし、この段階では、清朝政府は依然として北京に存続していましたし、宣統帝も退位していません。また、諸外国による国家承認もまだ行われていませんでした。

 このため、郵政当局は、とりあえず、清朝側にも革命側にも与することなく、郵政事業を継続するための措置として中立を宣言。そうした立場の表明として、清朝の切手(蟠龍票)に“臨時中立”の文字を加刷した切手を発行すべく準備を進めました。加刷は上海の海関造冊處で行われ、1月30日に福州で3分、1円、2円、5円の4種類の額面が発売されましたが、2月12日に清朝が完全に滅亡したため、福州以外では発売されることなく、また残りの額面の加刷切手も発売されることなく終わりました。今回ご紹介の切手は、このうち、龍を描く3分切手(残りの3額面のデザインは飛雁です)に加刷したもので、辰年の新年に合わせてのご紹介です。

 なお、“臨時中立”加刷の切手のうち、1分、3分、7分、1角6分、5角、1円、2円、5円の8種に関しては、3月22日に“中華民国”と加刷して漢口で発売されたほか、このうちの1分、3分、1角6分、1円、2円、5円は南京でも、さらに、1分に関しては長沙でも発売されました。

 いずれにせよ、1949年10月1日に毛沢東が北京で中華人民共和国の成立を宣言した時点では、国府は依然として重慶に残っており、国共内戦も継続されていたのと同様に、1912年1月1日の時点では、中華民国は必ずしも清朝を打倒して完全に中国大陸を掌握していたわけではないということは、記憶の片隅にとどめておいても損はないような気がします。 
 

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