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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 出初式
2012-01-06 Fri 16:19
 今日(6日)は消防出初式の日です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        自治体消防50年

 これは、1998年に発行された自治体消防50年の記念切手で、図案は、豊原国周の消防装束の役者絵と、救急車および消防車を組み合わせています。

 明治以前の江戸は大規模な家事が頻発する都市だったため、いろは四十八組に代表される町火消しが活躍したことで知られています。ただし、江戸の町火消は、鳶職など、通常の仕事の合間に、火災が発生すると消火活動に駆けつけるという非常備組織でした。これに対して、1880年に発足した近代消防制度は専従・専門職員からなる常設組織です。

 しかし、そうした制度面の相違以上に、江戸の町火消と近代消防では、消火に対する根本的な考え方が異なっています。今回ご紹介の切手は、現在の消防と江戸の町火消を対比させているので、両者の本質的な差異を理解するうえで役に立つものといえましょう。

 すなわち、役者絵から切り抜いて取り上げられているのは纏持と鳶人足ですが、このうちの纏は、町日消が自分たちの組を示すために用いたもので、木の棒の先に組の名を示す頭と馬簾(房飾り)がつけられています。火災が発生すると、現場に駆け付けた纏持は風下の建物の屋根にあがり、消火すべき地域の目標を示しました。これに従い、延焼を防ぐため、鳶人足は鳶口などで纏よりも風上にある建物を一斉に破壊しました。もちろん、龍吐水や水鉄砲などで散水し、鎮火させることも行われたのですが、長時間にわたり継続的に散水し続けることが技術的に不可能であったため、町火消の消火活動は、あくまでも延焼を防ぐための破壊消火が中心であり、火災現場からの人命の救助も二次的な仕事でした。

 これに対して、現在の消防は放水や消火剤の散布によって鎮火させることを最優先にしており、延焼を防ぐための破壊活動は最小限にとどめられています。もちろん、火災現場での最優先課題は人命救助です。

 こうした町火消との相違点を明らかにするため、切手では、鳶口を持った町火消の背後に現在の消防自動車が、纏持の背後に救急車を取り上げた構図になったものと思われます。

 なお、切手の発行名目となった“自治体消防”というのは、戦前の消防が警察の一部門だったのに対して、第2次大戦後の制度改革の一環として、1948年に消防法・消防組織法等が制定され、消防と警察は分離されたことに伴い、それまで国が行ってきた消防業務を市町村が行うようになったことを反映したものです。


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