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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 イエメン新大統領が就任宣誓
2012-02-25 Sat 22:26
 今月21日に大統領選挙の投票が行われたイエメンで、当選者のハディ新大統領がきょう(25日)、国会で就任宣誓を行い、33年余り続いたサレハ大統領の政権が正式に退陣しました。いわゆる“アラブの春”で長期独裁政権が幕を下ろすのはチュニジアエジプトリビアに続き4例目です。というわけで、きょうはこの切手です。

        イエメンアラブ共和国加刷

 これは、1962年のイエメン革命直後、旧王制時代の切手を接収して“イエメンアラブ共和国”並びにその略称であるYARの文字と1962年9月27日の日付を加刷したものです。

 現在のイエメンの領域は、かつて、北部はオスマン帝国の支配下に、南部はイギリスの支配下に置かれていました。1918年、第一次大戦で敗れたオスマン帝国がこの地を撤退すると、現地のザイド派(シーア派の一派)指導者であったイマーム・ヤフヤーはイエメン・ムタワッキル王国の独立を宣言。1930年代に北イエメン全域を征服しました。この王国が1926年に発行したのが、イエメン最初の切手です。

 1962年9月、イエメンでは、イマーム・アフマドの死に伴う政権交代の隙をつくかたちでクーデタが発生。伝統的なザイド派(シーア派の一派)イスラムに基づく王朝が倒れ、革命政権が樹立されたものの、王党派はサウジアラビアとの国境を越えた山岳地帯に逃れて抵抗を続けました。いわゆるイエメン内戦の勃発です。

 イエメン内戦は、そのまま放置しておけば、いずれ王党派が投降して終わりという雰囲気が強かったのですが、革命政権がエジプトに支援を要請したことから事態は一転。保守派君主国の雄サウジアラビアは、エジプトに始まるアラブ民族主義の共和革命がついにアラビア半島へと上陸したことで深刻な脅威を感じ、王党派を支援したからです。こうして、イエメン内戦はエジプトとサウジアラビアの代理戦争の様相を呈するようになり、1970年まで続きました。

 一方、イギリスの支配下に置かれていたイエメン南部では、1967年、ソ連の支援の下、南イエメン人民共和国(後にイエメン人民民主共和国に改称)が独立。イエメン社会党の一党独裁体制によるアラブ世界初の社会主義国として、中東やインド洋におけるソビエト連邦の拠点となっていましたが、ソ連崩壊で経済的に行き詰まり、1990年5月22日、北のイエメン・アラブ共和国に吸収される形で南北統一が実現し、現在のイエメン共和国が誕生しました。

 1962年の革命から半世紀のうち33年間、南北統一からの22年間だとその全期間、権力の座にあったサレハ大統領の退陣は、イエメンの現代史にとってはきわめて重要な事件であることはいうまでもないのですが、それが、どういう形で切手や郵便に痕跡を残しているのかは、残念ながら、現時点では把握できていません。ただし、昨年来、サレハ大統領の退陣と、その後継者として当時のハディ副大統領が唯一の候補者として大統領選挙に出馬し、新憲法制定を行うための任期2年の暫定大統領に就任するということは既定の路線になっていましたから、今回の新政権発足に際しては、50年前の革命のときのような暫定加刷切手が登場するということは、おそらくないでしょうね。


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