内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ドーンムアン空港再開
2012-03-07 Wed 17:20
 昨年(2011年)の大洪水で滑走路に水が押し寄せ、10月25日から閉鎖されていたタイ・バンコクのドーンムアン空港(国内線専用)が、きのう(6日)から4か月ぶりに運航が再開されました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        ウボン=バンコクFFC

 これは、1925年2月、タイ東北部のウボンラーチャターニーからバンコク宛の初飛行の葉書です。

 タイの航空事業は、1913年、国防省が将来的に航空隊を組織する目的で購入した7機(ブレゲ複葉機3機とニューポールⅡ単葉機4台)に、富裕な商人のチャオプラヤー・アパイ・プベットが購入して寄贈したブレゲ複葉機1台を加えた計8台からスタートしました。

 これと並行して、3人のタイ人飛行士が渡欧。飛行機操縦の訓練を受けた後、フランス人のメカニックとともに、ロシア、日本を経由し、各地で試験飛行を見学しながら1913年11月2日にバンコクに帰着し、同日早朝、ピッサヌローク親王臨席の下、警察学校の校庭からスポーツクラブまでの試験飛行を行いました。これが、タイにおける最初の航空機の飛行となります。

 初の試験飛行の成功を受けて、バンコク中心部から北に23キロの地点にあるドーンムアンに航空隊の拠点が設けられ(1915年にはこの地に正式に軍用空港が開港)、1914年1月13日には国王ワチラーウット(ラーマ6世)臨席の下、最初の公開試験飛行が行われました。なお、現在、タイの空軍記念日とされている3月27日は、1918年のこの日に官制上の陸軍航空科が正式に発足したことにちなむものです。

 その後、1914年に第一次大戦がはじまった後も飛行距離1キロ未満の短距離訓練が行われていましたが、1916年になって、バンコクからバンコク南西のラーチャブリーまでの航空演習が開始されました。

 さらに、1917年、タイは第一次大戦に参戦し、フランスに400人の飛行部隊を派遣します。もっとも、彼らの能力は玉石混合で、全員が即戦力であったというよりも、タイとしては、大戦の機会をとらえて、“国際協力”の名の下に、短期間で多くの飛行士を養成してしまおうというのが本音だったようです。じっさい、100人以上の飛行士が訓練を受け、95人がフランスで軍事パイロットとしての資格を獲得しましたが、彼らは誰一人として実戦を経験しておらず、無傷のまま、1919年5月1日にタイへと帰国を果たしています。

 こうしたフランス帰りのタイ人飛行士たちは、草創期のタイの航空事業を支える中軸的な人材となりましたが、1919年12月、バンコク=チャンタブリー間でタイ最初の航空郵便(エアメール)が行われたのも、そうした彼らの業績のひとつとして記憶されておいてよいでしょう。

 その後、1922年にはサイアム航空(現在のタイ航空の前身)がナコーンラーチャシーマーとウボンラーチャターニーの間に初の国内線定期航路を開設し(同路線での航空郵便の取扱開始は1924年)、これと前後して、タイ国内の各都市を結ぶ航空郵便網も拡充されていくことになります。今回ご紹介の葉書のウボンラーチャターニー=バンコク線もその一つというわけです。

 なお、タイについては、今から5年ほど前に『タイ三都周郵記』と題する本を上梓しましたが、それがきっかけとなって、日本タイ協会とのお付き合いが始まり、同協会の『タイ国情報』に「泰国郵便学」と題する連載をすることになりました。いずれ同誌での連載終了の暁には、加筆修正して書籍化を目指したいものです。


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