内藤陽介 Yosuke NAITO
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 島を買う
2012-04-17 Tue 22:59
 訪米中の石原慎太郎・東京都知事が、現地時間16日、日本の固有の領土で中国や台湾が領有権を主張する尖閣諸島(沖縄県石垣市)の一部を都が買い取る意向を表明しました。というわけで、島の売買にからんで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        カロリン加刷

 これは、1899年に発行されたドイツ領カロリン諸島の加刷切手です。

 カロリン諸島は、西太平洋のミクロネシア南部に位置し、パラオ・ヤップ・チューク(トラック)・ポンペイ(ポナペ)・コスラエ(クサイエ)等から構成されています。

 1527年にポルトガル人ディエゴ・デ・ローシャがヨーロッパ人として初めてこの地を探検。1686年、スペインのフランシスコ・デ・ラスカーノ提督が国王カルロス2世にちなみカロリナスと命名し、スペイン領となりました。ただし、スペインの期待する資源には乏しかったことに加え、キリスト教宣教師による現地住民の改宗もほとんど進まなかったため、スペインの領有は名目的なものにとどまっていました。

 ところが、1885年、ドイツの軍艦イルティスがヤップ島に寄港し、カロリン諸島の領有を宣言したことで、スペインとドイツの対立が発生。このため、教皇レオ13世の仲裁により、カロリン諸島はスペインの領土であるが、ドイツ人商人には通商の自由を与え、ポナペおよびヤップに船舶用の石炭補給基地を設置することで妥協が成立しました。

 その後、1898年に勃発した米西戦争でスペインが敗北すると、スペインはグアムをアメリカい割譲しましたが、残りの南洋群島に関しては、1899年2月8日、ドイツに2500万ペセタ(1675万マルク)で売却。これを受けて、同年6月、カロリン諸島はドイツのニューギニア保護領の一部となり、以後、第一次大戦までドイツの支配下に置かれることになりました。

 スペイン領時代のカロリン諸島では、域内での近代郵便制度は実施されず、域外との郵便のやり取りも不定期に往来する船舶の幸便に託されるだけでした。ドイツの領有後、まず、1899年10月12日にポナペに郵便局が設置され、以後、ヤップ、トラック、パラオ、アンガウルに順次郵便局が設置されていきました。当初、ドイツ当局は無加刷の切手・はがきを持ち込んで使用していましたが、1899年10月に今回ご紹介しているような地名加刷の切手が、さらに、1901年にはいわゆるカイザー・ヨット切手が使用されました。

 その後、1914年に第一次大戦が勃発すると、カロリン諸島は日本の占領下におかれ、大戦後、日本の委任統治領となります。さらに、第二次大戦後はアメリカの信託統治領となり、1986年にミクロネシア連邦、1994年にパラオ共和国が独立して、現在にいたっています。
 
 まぁ、今回の尖閣の売買は、自国の島を自治体が個人の地権者から買うという構図なので、カロリン諸島のケースと単純に同一視できないのは言うまでもありません。ただし、古来、島の売買というのは幾度となく行われており、その結果、郵便も影響を受ける事例もままありますので、機会をとらえて、その実例をご紹介していければ…と思っております。


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