内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 “反プーチン”バンド禁錮2年
2012-08-18 Sat 22:35
 ロシアの女性パンクバンド、プッシー・ライオットのメンバー3人が、大統領選に先立つことし2月末にロシア正教会の総本山、救世主キリスト大聖堂(救世主ハリストス大聖堂)に乱入し、覆面姿で「マリア様、プーチン(当時首相。現大統領)を追い出して」などと演奏したとしてフーリガン(暴徒)罪に問われた事件で、モスクワの地区裁判所は、きのう(17日)、女性らを禁錮2年(求刑同3年)とする有罪判決を言い渡しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       モスクワ救世主キリスト大聖堂

 これは、1997年にロシアで発行された“モスクワ建都850年”の記念切手のうち、救世主キリスト大聖堂を取り上げた1枚です。

 1812年12月25日、ナポレオン軍がモスクワから撤退すると、ロシア皇帝アレクサンドル1世は、戦勝を記念し、戦没者を慰霊するために大聖堂の建立を裁可します。当初、大聖堂はモスクワ市内の別の場所に建設される予定で、1817年に建設工事が始まりましたが、設計責任者のアレクサンドル・ヴィットベルクが不正経理を問われて失脚したことに加え、建設予定地の地質が軟弱であったため、1826年、工事は中止されてしまいます。

 その後、アレクサンドル1世の後を継いだニコライ1世の依頼を受けたコンスタンチン・トーンの再設計により、1839年に現在の敷地(モスクワ河を挟んでクレムリンの対岸)に場所を移して建設工事が再開。ロシア国内の芸術家を総動員し、44年の歳月をかけて完成。1883年5月26日、アレクサンドル3世の戴冠式にあわせて献堂されました。

 しかし、1917年のロシア革命により、“宗教は民衆のアヘン”とするボリシェヴィキ政権が成立すると、正教会は弾圧の対象となり、1931年12月5日、ソヴィエト宮殿の建設を理由として、大聖堂も爆破されました。ただし、大聖堂跡地に建設される予定だったソヴィエト宮殿は、地盤が軟弱であることに加え、1941年に始まる大祖国戦争により建設資材の調達が困難になったことなどもあり、結局、建設されずに終わっています。

 大聖堂の再建が現実のものとして検討されるようになるのは、ゴルバチョフ時代末期の1990年のことで、同年、ロシア正教会側が大聖堂の再建を決議しソ連政府に正式に要請。ソ連崩壊後の1994年、1997年に行われるモスクワ建都850年記念事業の一環として、モスクワ市の財政援助の下、再建工事がスタートし、2000年8月19日の“主の顕栄祭”に落成しました。なお、再建された大聖堂は、全世界にある正教会の大聖堂中、最も高い103メートルの偉容を誇っています。
 
 さて、今回の事件を起こしたプッシー・ライオットは、昨年秋、プーチン首相が大統領選出馬を表明したことに抗議して結成されたバンドで、政権と正教会の癒着を批判する狙いから大聖堂でパフォーマンスを行ったのだそうです。被告の彼女たちは“道徳的な過ち”を謝罪しつつも、「政治的行動で刑事罰には当たらない」と訴えていましたが、裁判官は、3人の行為を“宗教的憎悪に基づくフーリガン”とする検察側の主張を全面的に認め、禁錮2年の判決を下しました。じっさい、公開されている動画などを見る限り、真面目に礼拝して賛美歌を歌っている善男善女のところへ乱入してのパフォーマンスのようすは、信徒が激怒するのも当然といった気もしますし、欧米メディアが一方的に彼女たちを擁護しているとはいえ、純然たる“言論の自由”で片づけられる問題でもなさそうです。

 もちろん、民主国家である以上、“言論の自由”というのは十分に保障されねばならないものではあるのですが、時として、その濫用に苦々しい思いをする人も少なくないのではないでしょうか。8月6日の広島や15日の靖国神社の前で、多くの人々が黙祷しているにもかかわらず、太鼓を打ち鳴らして“原発反対”を訴える輩がなんらお咎めなしでいることに対して、大いに疑問を感じざるを得ない僕としては、プッシー・ライオットの“被害者”となった善男善女に対する同情を禁じ得ないところも、たしかにありますな。

 ★★★ 内藤陽介・韓国進出! ★★★

   『韓国現代史』の韓国語訳、出ました
    
       韓国現代史・韓国語版
     우표로 그려낸 한국현대사
    (切手で描き出した韓国現代史)

     ハヌル出版より好評発売中!


    米国と20世紀を問い直す意欲作

       切手、歴史を送る(正面)
       우표,역사를 부치다
       (切手、歴史を送る)

      延恩文庫より好評発売中!

 *どちらも書名をクリックすると出版元の特設ページに飛びます。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。
スポンサーサイト

別窓 | ロシア連邦 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< ルーマニアで邦人女性殺害 | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  南アの鉱山ストで34人死亡>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/