内藤陽介 Yosuke NAITO
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 韓国、野田首相の親書返戻
2012-08-23 Thu 16:25
 韓国政府は、きょう(23日)中に、今月17日に野田首相が李明博大統領に送った親書(大統領の竹島訪問などに遺憾の意を表明し、領有権問題を国際司法裁判所に共同付託して解決する案を韓国側に提起する内容)について、東京の韓国大使館を通じて返戻するのだそうです。というわけで、きょうは韓国がらみの返戻カバーの中から、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       南朝鮮・誤認返戻     南朝鮮・誤認返戻(付箋)

 これは、1946年5月、米軍政下の南朝鮮(まだ大韓民国は成立していません)で全州からソウル宛に差し出されたものの、差出人戻しになった郵便物です。画像の左側は付箋を貼った全体像、右側は付箋をめくって切手と日本語の文言をスキャンしたものです。

 第2次大戦直後の南朝鮮では、米軍が進駐した1945年9月以降も日本時代の切手がそのまま流通していましたが、1946年2月1日、日本時代の昭和切手にハングルを加刷した暫定切手が発行されました。さらに、同年5月1日には、米軍政下の最初の正刷切手として“解放切手”が発行されます。これを受け、同年6月30日限りで無加刷の日本切手とハングル加刷の暫定切手はともに使用禁止となりました。逆に、このことは、1946年6月30日までは、米軍政下の南朝鮮でも日本時代の切手はそのまま有効だったということになります。

 さて、今回のカバーですが、差出地の全州の日付印はほとんど読めませんが、到着地の京城中央の印は1946年5月16日の日付がしっかり読めます。したがって、制度的には、この時点では貼られている日本時代の30銭切手は有効なはずなのですが、この郵便物を取り扱った光化門郵便局は、すでに解放切手が発行されていることもあって、日本切手は無効と誤認。「此ノ郵便物ハ料金貼付ヲ御忘レエニナツタモノト思ハレマスカラ一應御返シ致シマス」と事情を説明した付箋を貼って、差出人に返戻してしまいました。

 余談ですが、付箋の事務的な文言は、それが事務的であるがゆえに、誰もが理解できるように記されていなければなりません。光化門郵便局の現場では、当時の南朝鮮社会の現実ではハングルよりも日本語のほうが汎用性が高いと判断したからこそ、付箋での事情説明には韓国語ではなく日本語を用いたものと考えられます。同様に、“京城中央”という消印の地名表示も、日本時代との歴史的な連続性を示すものと言ってよいでしょう。

 さて、今回の親書返戻の理由として、韓国側は「大統領が訪問したのは、親書に書かれている“竹島”ではなく“独島”であり、親書の指摘が事実ではないため」と説明しているそうですが、誰がなんと言おうと、(島根県の)竹島は竹島ですからねぇ。まぁ、間違った理解に基づき、手紙を返礼してしまうというのは、66年前から変わっていないというわけですな。

 なお、報道などでは、親書を“返送”と表現していますが、じっさいには東京の韓国大使館の職員がしかるべき場所へ持っていくということなのでしょう。文字通り、郵便で送り返してくるということであれば、どんな封筒で送り返してくるのか、そのあたりが個人的には大いに興味があったんですがね。

 PS きのう(23日)はこの記事をアップしてすぐに外出したのですが、帰宅後、親書を持参した韓国大使館の参事官が外務省の敷地内に立ち入れなかったため、韓国側は書留郵便で送ることにしたということを知りました。ということは、確実に、返送した親書が中に入っていたカバーというものが存在することになるわけですな。うーむ、実物を見てみたい。

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この記事のコメント
#2215 書留で郵送だそうですが
 もし返送手段が「受取人からハンコ等をもらわない」レターパックライトだったら笑った。
2012-08-23 Thu 20:51 | URL | いわゐ將軍 #B7q/.fmY[ 内容変更] | ∧top | under∨
#2216
これがチョン公の体たらくですからしょうがありませんね。
2012-08-25 Sat 19:18 | URL | 駒長 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 皆様、コメントありがとうございます。

・いわゐ將軍様
 どうせなら、韓国国内から2004年の竹島切手をべたべた貼って出すくらいの根性は見せてほしかったですな。

・駒長様
 常々疑問に思っているのですが、朝鮮の蔑称として“チョン”という語を使うようになったのはいつごろからなんでしょうか。

 もともと、日本語の“チョン”は“ちょっと”の意味で(その典型的な例が“チョンの間”)、そこから転じて、頭の足りない人という意味になり、“バカでもチョンでも”という言い回しになったと聞いています。実際、“バカでもチョンでも”は、ほとんどの日本人が朝鮮(人)の存在さえ知らない幕末には確実に使われていた言葉です。

 朝の字は、韓国語ではチョ、中国語ではチャオですから、チョンにはなりません。まぁ、おそらく、上記の“チョン”に、いつしか、朝鮮の意味が付与されたというのが自然なのでしょうが、それが具体的にいつごろ、定着したのかという点には、大いに興味があります。
2012-09-01 Sat 10:10 | URL |  内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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