2012-10-24 Wed 11:53
南アフリカ(以下、南ア)・ヨハネスブルクの刑務所付近で、おととい(22日)、同刑務所に収監されていた刑事被告人36人を乗せた護送車が裁判所から刑務所に戻る途中で爆発。3人が死亡、14人が負傷しました。爆発物を使った脱走未遂事件とみられているそうです。というわけで、きょうは、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
![]() これは、1983年4月、南ア・ケープタウン沖のロベン島監獄から差し出された書留便です。 ロベン島はケープタウン沖合およそ12キロの地点にある島で、面積は5.47平方キロ。名前の“ロベン”は、もともとはアザラシを意味するオランダ語です。 島の周囲は海流が強いことから、脱出困難な監獄やハンセン氏病患者の隔離病棟などとして用いられてきましたが、1959年以降、アパルトヘイト体制に異議を唱える政治犯の収容所として使われました。かのネルソン・マンデラが長年にわたって収容されていた監獄としても知られています。ちなみに、マンデラは1963年に逮捕されてから1990年に釈放されるまで27年間獄中で過ごしましたが、ロベン島の監獄にいたのは、1963年から1982年までで、その後は、ケープタウン郊外のポルスモア刑務所に移監されました。 さて、アパルトヘイト撤廃後の1996年、ロベン島の監獄はすべて閉鎖され、現在では島全体が博物館として観光名所になっています。さらに、1999年12月、ロベン島はアパルトヘイトの記憶を伝える“負の世界遺産”として、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。 当初、世界遺産に収録される物件の指定をユネスコと世界遺産委員会に対して答申する国際記念物遺跡会議は、ロベン島の登録に対して否定的な評価を下していたといわれています。アパルトヘイトほど極端ではないにせよ、多少なりとも、有色人種に対する差別の歴史を持つ欧米の委員の中には、出身国に対する批判のとばっちりを恐れる者もいたのかもしれません。 これに対して、当時、ユネスコの事務局長で世界遺産委員会議長を兼任していた松浦晃一郎が世界遺産への登録を提案。これが受け入れられ、1999年の世界遺産委員会で登録が認められました。 ところで、第一次大戦後の1919年2月13日、パリ講和会議において、日本全権の牧野伸顕は、新たに設立される国際連盟規の規約に、「人種あるいは国籍如何により法律上あるいは事実上何ら差別を設けざることを約す」という人種差別撤廃の条項を入れるように提案しました。国際会議において人種差別撤廃が明確に主張されたのは、これが最初のことです。 この時の日本の提案は、残念ながら、オーストラリアや米国上院の強硬な反対に遭い、米大統領ウッドロー・ウィルソンの裁定によって葬り去られましたが、それから80年後、ふたたび日本の代表が、人種差別の愚かさを後世に伝えるべく、“負の世界遺産”登録に尽力したということは、もっと日本国内でも知られていていいのではないかと思います。 さて、あす(25日)発売の拙著『喜望峰:ケープタウンから見る南アフリカ』では、今回ご紹介のカバー以外にも、マンデラとアパルトヘイトについて、関連の切手や郵便物をご紹介しながらまとめております。書店などで実物を目にする機会がありましたら、ぜひ、お手にとってご覧いただけると幸いです。 ★★★ T-moneyで歩くソウル歴史散歩 ★★★ ・よみうりカルチャー荻窪 10月30日、12月4日、1月29日、2月5日、3月5日 13:00-14:30 8月の韓国取材で仕入れたネタを交えながら、ソウルの歴史散歩を楽しんでみようという一般向けの教養講座です。詳細につきましては、青色太字をクリックしてご覧いただけると幸いです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。 ★★★ イベントのご案内 ★★★ ・11月3日(土) 10:15- 切手市場 於 東京・池袋 東京セミナー学院 詳細は主催者HPをご覧ください。新作の『喜望峰』を中心に、拙著を担いで行商に行きます。 会場ならではの特典もご用意しておりますので、ぜひ、遊びに来てください。 ・11月10日(土) 11:00- 全国切手展<JAPEX> 東京・池袋で開催される全国切手展<JAPEX>会場内で、拙著『喜望峰』刊行記念のトークイベントを予定しております。よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。なお、詳細は主催者HPをご覧いただけると幸いです。 ★★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★★ 毎秋恒例、切手紀行シリーズの第5巻は、あす10月25日発売です! ![]() 『喜望峰:ケープタウンから見る南アフリカ』 いままでなかった喜望峰とケープタウンの物語 美しい風景とウンチク満載の歴史紀行!! ただいま、アマゾン、セブンネット、版元ドットコム、楽天ブックス、e-hon、hmv、honto、JBOOK、livedoor BOOKSなどでご予約受付中! なお、本書をご自身の関係するメディアで取り上げたい、または、取り上げることを検討したい、という方は、是非、ご連絡ください。資料を急送いたします。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 スポンサーサイト
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