内藤陽介 Yosuke NAITO
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 南アフリカ・ワイン
2012-11-15 Thu 14:19
 きょう(15日)は11月の第3木曜日。いわずと知れたボジョレー・ヌーボーの解禁日です。というわけで、先ごろ刊行されたばかりの拙著『喜望峰』にちなんで、南アフリカ切手の中からワインがらみの1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

         KWV貯蔵庫

 これは、1987年に発行されたパール300年の記念切手のうち、KWVのカセドラル・セラーを取り上げた1枚です。

 南アフリカのケープ・ワインは、17世紀、この地に亡命してきたユグノーによって基礎が築かれましたが、1778年、ドイツ系移民の血を引くヘンドリック・クローテは、ワイナリー、グルート・コンスタンスを率いて、デザート・ワインの傑作とされる“コンスタンシア”を作り出すことに成功。ヘンドリックの死後、コンスタンシアのワイナリーは息子のヘンドリックJrを経て、孫のヤコブ・ピーターが後を継ぎました。このヤコブ・ピーターはフランス語を巧みに操り、パリにコンスタンシアの代理店を開設します。

 時あたかも、ナポレオン戦争の時代。フランスのワイン産業が大きな打撃を受けたことに加え、英仏間の貿易も途絶したことから、コンスタンシアはその空白を埋めるかのように、最上級のデザート・ワインとしてヨーロッパの上流社会を席捲しました。

 コンスタンシアの成功に引きずられるかたちで、他のケープ・ワインもヨーロッパで広く飲まれるようになり、ケープ植民地のワイン産業は急速な発展を遂げていきます。

 ところが、1861年、ナポレオン戦争以来、断絶状態にあった英仏の国交が正常化され、イギリス国内でのフランス製品への輸入関税が大幅に引き下げられると、ケープ・ワインのイギリス向け輸出は激減。さらに、1866年にはブドウに被害をもたらす害虫、フィロキセラ(ブドウネアブラムシ)が蔓延してケープ・ワインの生産は壊滅的な打撃を受けた。そこに追い打ちをかけるように、19世紀末にはボーア戦争が勃発します。

 その後、20世紀に入り、ボーア戦争が終結すると、北米からフィロキセラに対する耐性があるブドウの苗木が持ち込まれ、ようやく、ケープ・ワインも復活しました。しかし、それまでの空白を埋めるかのごとく、ワイナリーが競って生産量を増やしたため、ケープ・ワインは過剰生産で値崩れを起こしてしまいます。

 そこで、南ア政府は、1918年、ワインの生産調整と価格安定を目的に、南アフリカ醸造者協同組合(KWV:Ko?peratieve Wijnbouwers Vereniging van Zuid-Afrika Bpkt)を設立。ケープ・ワインの市場と価格を管理するようになりました。KWVは、アパルトヘイトの時代を経て、1997年、株式会社化され、2002年に完全民営化されました。ただし、現在なお、世界各国に輸出される南アワインの相当部分はKWVの製品で、僕たちが日常的にスーパーやコンビニ、量販店などで目にする南アフリカ・ワインも、たいてい、KWVのものです。もっとも、ケープ・ワインを複数銘柄常備しているワイン売り場が、日本では少ないという事情もあるのですが…。

 なお、KWVの本社は、ステレンボッシュから北東に20キロほど行ったパールにあるため、今回ご紹介のパール300年の記念切手には、KWVのワイン貯蔵庫“カセドラル・セラー”が取り上げられたというわけです。

 ちなみに、拙著『喜望峰』では、ケープ・ワインの歴史とその魅力についても、その要点をまとめて解説しておりますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。

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