内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手に描かれたソウル:北岳山
2012-11-28 Wed 08:23
 ご報告が遅くなりましたが、『東洋経済日報』11月16日号が刊行されました。僕の月1連載「切手に描かれたソウル」では、今回は大統領官邸・青瓦台の背後にそびえる北岳山を取り上げました。その記事の中から、この切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

       北岳山     青瓦台と北岳山

 左は2007年4月5日に発行された“北岳山全面開放”の記念切手で、右は、今年8月、青瓦台前から撮った北嶽山の写真です。

 ソウルの基本的な地形は、四方を山に囲まれ、漢江が東西を流れる構造となっていますが、北岳山は、その名の通り、その北側の主峰で、白岳山とも呼ばれています。花崗岩が基盤で、ソウルを囲んでいる内四山(北岳山、南山、駱山、仁王山)の中では、一番高いのだが、それでも、高さは約342メートルしかありません。

 したがって、物理的に登っていくのは決して難しくはないのですが、青瓦台を近くから見下ろす位置にあることもあって、周辺一帯は特定警備地域に指定されており、3カ所の入口(馬岩・彰義門・粛靖門の各案内所)から先のハイキング・コースへは、身分証がなければ入ることはできません。

 この地域への立入規制が特に厳しくなったのは、1968年1月、朴正煕大統領(当時)の暗殺を企てる北朝鮮の特殊部隊(第124部隊第1中隊第1小隊)が休戦ラインを突破して青瓦台から800メートルの地点にまで侵入した“青瓦台襲撃未遂事件”の影響です。この時、北朝鮮の特殊部隊が侵入したのは北漢山でしたが、青瓦台に近い北岳山も当然のことながら規制の対象となり、事件後、およそ40年間にわたって一般国民は自由に立ち入ることができなくなりました。

 北岳山への一般の立ち入りが一部解放されたのは盧武鉉政権下の2006年のことで、おそらく、その背景には、同政権による対北融和政策があったのでしょう。この時は、まず、粛靖門付近の1.1キロの区間が開放され、ついで翌2007年には馬岩案内所から彰義門までの4.3キロの区間が全面開放されました。

 今回ご紹介の切手は、2007年の北岳山の全面開放に合わせて発行されたもので、山中の粛靖門が描かれています。鉛筆画風のタッチで描かれた門楼と石垣は、山中の静謐な雰囲気が良く表現された1枚です。

 切手に取り上げられた粛靖門は別名・北大門とも呼ばれ、南大門・東大門・西大門とならぶ4大門の一つとされており、おなじく北岳山中にある彰義門は、この北大門と西大門の中間に位置しています。

 北岳山中にある二つの門は、朝鮮王朝時代の1413年、風水を理由として通行が禁じられたそうです。日本統治時代には、朝鮮王朝による禁令は解かれたが、山中ゆえに訪れる人も少なく、さらに、1968年の青瓦台襲撃未遂事件以降、周辺一帯にはほとんど人が立ち入らなくなったため、下界の開発がどんどん進められていくのとは裏腹に、結果として、天然の森の豊かな自然が保存されることになりました。

 粛靖門も長らく石門のみが残る質素なものでしたが、現在では復元され、楼上からは木々の向こうに、高層ビルが立ち並ぶソウルの街並みが一望できます。全面開放に先立ち、チョン・ギヨン文化財委員(当時)は「ここでソウル市を眺めるとソウルを愛する気持ちがわいてくるほど美しい所」だとメディアの取材に答えていたが、たしかに、ソウルを代表する絶景ポイントであることは間違いありません。

 さて、わが国では解散・総選挙一色のきょうこの頃ですが、韓国でも、12月19日投開票の大統領選に向けて、きのう(27日)から公式の選挙戦がスタートしました。これに伴い、テレビなどで青瓦台の映像が流れる機会も増えるでしょうが、それにあわせて、背景の北岳山のメディアへの露出も増えるはずですので、そのときは、このブログ記事のことも思い出していただけると幸いです。


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