内藤陽介 Yosuke NAITO
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 アカデミー作品賞は『アルゴ』
2013-02-26 Tue 11:57
 第85回米アカデミー賞は、イスラム革命後のイランで起きた米国大使館占拠事件での人質救出の舞台裏を描いた「アルゴ」が作品賞を受賞しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        アメリカ大使館占拠8周年

 これは、1987年11月にイランが発行した“米国大使館占拠8周年”の記念切手で、星条旗の背後にヒビの入った米国会議事堂と米国の国章が描かれています。ちなみに、切手の表記では、米国大使館ではなく、“米国のスパイの隠れ家”となっています。

 1979年2月のイスラム革命は、開発独裁政策を進めてきた親米パーレビ体制に対する不満が爆発したものでした。このため、パーレビ王制崩壊後、国民の矛先は旧王制を支え続けてきた米国へも向かうことになります。そして、亡命中の国王が治療を名目に米国に入ったことで、急進革命派の反米感情は沸騰。1979年11月、国王の身柄引渡しを求めて急進派学生らがテヘランのアメリカ大使館を占拠する事件が発生しました。

 これが、いわゆるテヘランの米国大使館占拠事件で、これを機に、イランと米国は国交を断絶。1981年1月20日に人質が解放された後も、現在にいたるまでの両国の険悪な関係が決定的になりました。

 イランでは、一時期、米国大使館占拠事件の周年記念切手を毎年発行していましたが、今回ご紹介の切手が発行された1987年は、7月に国連安保理の停戦決議(安保理決議598)が可決され、対イラク戦争の終結が現実味を帯びて語られるようになっていた時期でした。

 安保理決議598は、受諾を拒否する国に対しては、制裁などの措置を行いうるとして受諾圧力をかけた上で、停戦とともに双方が占領地域から撤退することを掲げていたため、当時、イラン領内に占領地を持たないイラクにとっては有利でしたが、イラク領内に占領地を有していたイランにとっては不利な内容でした。このため、一部では、イランがこの決議を拒否することを見越して、対イラン制裁措置を導き出そうとするアメリカの意図に沿って作成されたものとの解釈もなされています。

 今回ご紹介の切手は、こうした状況の中で発行されたもので、イラン国内の反米感情が、ふたたび沸騰していった状況を彷彿させるものともいえましょう。

 ちなみに、今回のアカデミー賞ではミシェル・オバマ大統領夫人が作品賞の発表を行うなど、政治的な演出には米国内でも批判の声が上がったそうで、当然のことながら、イラン政府は猛反発しています。収集家としては、ついつい、久しぶりにイランで“人質事件”を題材とした切手が発行されるかも…と期待(?)してしまいますな。


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