内藤陽介 Yosuke NAITO
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 チャヴェス大統領死去
2013-03-06 Wed 22:22
 ヴェネズエラのウゴ・チャヴェス大統領が亡くなりました。というわけで、彼の実績を端的に示す切手はないかと思い、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        ヴェネズエラ独立200年(ロシア)

 これは、2011年にロシアが発行したヴェネズエラ独立200年の記念切手で、キリル文字のロシア語ですが、“ヴェネズエラ・ボリーヴァル共和国”の文字と、現在のヴェネズエラ国旗が取り上げられています。チャヴェス政権の外交の基本方針は、米国一極体制に対して、米国に反対ないし抵抗する政府(イラン、リビア、キューバ、中国、ロシア等)および勢力と戦略的同盟関係を結び、新しい国際秩序を構築すべきというものでした。

 対露関係に関しては、特に、エネルギー・軍事分野で密接な協力関係にあり、今回の訃報に対してプーチン大統領は、ベネズエラ国民への“深い哀悼の意”を表明するとともに、チャベスを「ロシアの親友であり、傑出した指導者」だったとたたえ、葬儀には、最側近であるロシア国営石油会社ロスネフチのセチン社長を大統領特別代表として派遣することを決めたそうです。今回ご紹介の切手も、こうした深い関係にあればこそ、の1枚といえましょう。

 さて、ヴェネズエラの国名は、1830年以来、ヴェネズエラ共和国でしたが、1999年2月にチェヴェス政権が発足してから新憲法が制定され、これに伴い、国号も現在の“ヴェネズエラ・ボリーヴァル共和国”に変更されました。

 ボリヴァル共和国のボリーヴァルは、19世紀初頭、宗主国スペインに対する経済的従属から開放されるためには政治的独立の達成が不可欠であるとして自由と独立のために闘ったアンデス諸国共通の英雄、シモン・ボリーヴァルに由来するものですが、低所得者層の高い支持を得て大統領に当選したチャヴェスは、「現代の新たな従属からの開放と自由、独立のために闘う」として“ボリーヴァル革命”を標榜していました。このため、1999年の憲法改正では、“ボリヴァル”が前面に打ち出され、その前文において「神および解放者シモン・ボリーヴァルの歴史的手本に加護を求め…」との記述があるほか、第1条で「シモン・ボリーヴァルの教義を基盤にして」と規定し、さらに第107条において「公立および私立の学校においてスペイン語およびベネズエラの地理・歴史とともにシモン・ボリーヴァルの思想を教えなければならない」との規定が設けられました。国名変更もこうした文脈に沿ったものです。

 一方、現行のヴェネズエラ国旗は、やはり、チャヴェス政権下の2006年に定められたものです。

 その基本的なデザインは旧国旗とほぼ同じですが、旧国旗では7つだった中央の星が、2006年の改定では8つに変更されています。7つの星は、スペインからの独立戦争に立ち上がった7植民地州(バルセロナ、バリナス、カラカス、クマナ、マルガリータ、メリダ、トルヒージョ)を表すものでしたが、 1817年、ボリーヴァルはガイアナの解放を受け8つめの星を追加すると宣言しました。しかし、この改定は正式に認められることはなく、従来通り、国旗の星は7つのままだったものを、チャヴェス政権は、ボリーヴァルに忠実たらんとして、約200年ぶりに改定したというわけです。ただし、8つめの星であったガイアナは、現在はれっきとした独立国であってベネズエラの一部ではないので、ガイアナからすれば、何とも迷惑な国旗の改定といえそうです。

 なお、国旗の左上にはヴェネズエラの国章が掲げられていますが、この国章の馬の向きも、2006年、従来の右向きから左向きに変更されました。なんでも、チェヴェス政権は左翼政権だからというのがその理由だそうで、冗談みたいな話ですな。

 いずれにせよ、それまで200年近く続いてきた国名と国旗を一挙に変更してしまったチャヴェス政権というのは、良くも悪くも、ヴェネズエラと周辺諸国にとってはインパクトのある存在だったことはたしかです。そうしたチェヴェス政権とその切手については、拙著『事情のある国の切手ほど面白い』でも1章を設けてご紹介したことがあります。機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。


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