内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手で訪ねるふるさとの旅:東京都
2013-03-09 Sat 22:33
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、『(郵便局を旅する地域活性マガジン)散歩人』第20号(2013年3月号)ができあがりました。僕の連載「切手で訪ねるふるさとの旅」は、今回は巻頭特集の東京駅にあわせて、“東京のレトロな建物”の特集です。そのなかから、きょうはこの切手をご紹介しましょう。(画像はクリックで拡大されます)

        東京天文台75年

 これは、1953年10月29日に発行された“東京天文台創設75年”の記念切手です。

 現在、文部科学省の直轄研究機関となっている国立天文台(三鷹キャンパス)は、1988年に大学共同利用機関となるまで、ながらく、東京天文台として親しまれてきました。

 その東京天文台のルーツは、1878年に設置された東京大学理学部観象台です。観象台は、東京の本郷元富士町の文部省用地で天文・気象の観測を行っていましたが、1882年に気象台が分離されて天象台となり、さらに、1888年には海軍水路部観象台を合併して東京天文台となります。そして、それに伴い、文部大臣の管理下で、海軍水路部位観象台のあった麻布飯倉町に本拠地を移し、天象観測と暦書調整、報時事業を行う機関となりました。

 その後、1909年、東京府北多摩群三鷹村(現在の所在地である東京都三鷹市大沢)への移転が決定され、関東大震災後の1924年9月に三鷹での活動を開始しました。この間、1921年には官制が公布され、東京大学理学部から分離して東京大学附属天文台となり、それが1988年まで続きました。

 1953年は、そうした東京天文台の創設75周年にあたっていましたが、当初、郵政省では記念切手の発行を計画していませんでした。ところが、同年8月26日、東京天文台の事務長が突如、郵政省郵務局管理課に電話をかけ、記念式典の行われる10月29日にあわせて記念切手を発行するよう要請したところから事態は急転します。

 当初、電話を受けた郵務局管理課では、天文台側の主張する10月の発行は準備期間の上からも無理であるし、10月にはすでに3件の記念・特殊切手が発行される予定となっていた ことから、発行は困難であると返答。特印のみを使用する予定でした。

 しかし、事情は不明ですが、翌27日になると郵務局管理課は前日の回答から一転して記念切手の発行に前向きな姿勢を示すようになり、その旨を天文台に連絡。28日に天文台の事務長が申請書と参考資料を携えて本省を訪れ、審議の結果、切手の発行が決定されました。

 切手の発行が決定されると、期日も切迫していることから、31日、ただちにデザイナーの渡辺三郎らが現地調査を行います。現地へ向かう車中で、天文台長の萩原雄祐は、渡辺らに図案の一部に星を配してほしいと要望。これを受けて、天文台長室で詳細な打合せが行われました。その後、渡辺らは敷地9万3000坪の天文台構内をまわって、各種の施設を写真撮影し、郵政省に戻りました。

 渡辺は、翌日からただちに原画の作成に取りかかります。

 天文台は、当時世界第2位の規模を誇っていた開口径10メートルの電波望遠鏡を図案に取り上げることを希望していましたが、その形状が和傘を開いて逆向きにしたようなもので一般にはわかりにくいものであったことから、渡辺はデザイナーとして別の題材を採用。①65センチ大赤道儀 による観測、②アインシュタイン塔と大ドームをシルエットにしたもの、③大ドームを描き北極星を中心にカシオペアと北斗七星を配したもの、の3枚の原画を9月7日までに作成しました。

 このうち、最後に出来上がった③が即日採用となり、翌8日、天文台の校閲を受けることになりました。

 渡辺の原画に対して、天文台サイドは、望遠鏡の対物鏡の外側にキャップの線を入れるよう注文を出したため、渡辺はただちにそのとおりに原画を修正。8日中に郵政審議会図案審査専門委員会の決済を経て、その日のうちに原稿が印刷局へ渡され、10月29日の切手発行に間に合わせるよう、制作作業が行われました。

 さて、『散歩人』の記事では、地図をバックに、今回ご紹介の切手のほか、東京大学大講堂(安田講堂)、慶応義塾図書館、国立競技場、早稲田大学大隈講堂、東京駅、表慶館をご紹介しています。掲載誌の『散歩人』は各地の郵便局などで入手が可能ですので、御近所でお見かけになりましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。


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