内藤陽介 Yosuke NAITO
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 東日本大震災から2年
2013-03-11 Mon 14:13
 2011年3月11日の東日本大震災から、今日でちょうど2年です。というわけで、きょうはこんなモノを持て来ました。(画像はクリックで拡大されます)

        モザンビーク・東日本大震災

 これは、昨年、モザンビークで発行された“日本の犠牲者に捧ぐ”と題された小型シートで、東日本大震災が取り上げられています。シートのデザインについては、椙山哲太郎さんのHyper Philatelistの記事に詳しいので、そちらをご参照いただくのがよろしいかと思いますが、とりあえず、シート地の左下部分に取り上げられた「自衛隊員に救出された赤ちゃん」は、震災発生後68時間ぶりに救助された石川彩花さん(当時生後4ヶ月)を抱いている陸上自衛隊の千葉浩司2等陸曹を撮影した報道写真が元になっていることだけ、記録のためにご紹介しておきます。

 さて、椙山さんの記事の後追いというだけではちょっと芸がないので、ここでは、この切手を見て僕なりに考えたことを書いてみたいと思います。

 今回ご紹介の切手を発行したモザンビークは、いわゆる全世界の切手収集家をターゲットに、国内の郵便に使うためではなく、外貨稼ぎのために“いかがわしい切手”を濫発することで知られています。実際、モザンビークの首都、マプトの中央郵便局に行ってみると(その時の体験談はこちらをご覧ください)、そうした“いかがわしい切手”(現地では“フィラテリーの切手”と呼ばれていました)を販売する窓口と、実際に郵便に使うための切手を販売する窓口は完全に別になっており、“フィラテリーの切手”は郵便料金の前納の証紙としては無効とされています。“フィラテリーの切手”と実際に郵便に使える切手はどのように見分けたらよいのか、その基準は現地の郵便局員に聞いても定かではないのですが、常識的に考えて、今回ご紹介の切手は“フィラテリーの切手”と考えるのが妥当だと思われます。

 “フィラテリーの切手”すなわち“いかがわしい切手”というと、コレクターの収集対象としてはそれだけで忌避されることが多いのですが、ちょっと角度を変えて考えてみると、興味深い情報が浮かび上がってきます。

 すなわち、切手の発行を単純に外貨獲得のための輸出ビジネスととらえるのなら、切手の題材は、発行国の国内事情とは無関係に、より国際市場で人気を得られるようなもの、すなわち、より多くの売り上げが見込めるものこそが適切であるということになります。“いかがわしい切手”を発行する国(正確にはそうした切手に発行者としての名義を貸す国)や、そうした切手を企画するエージェントにとっては、どれほど立派な主義主張や思想信条、愛国心などを掲げてみても、“商品”としてその切手が売れないのであれば、全く意味がないからです。

 したがって、“いかがわしい切手”の題材を丹念に分析していけば、どこにそうした切手を買うだけの資金があるのか、マーケットがその時点で何に関心を持っているのか、逆算して理解できるということになります。1964年の東京五輪に際して諸外国が発行した切手の多くが、日本の収集家を意識して日本的な題材を盛り込んだものというよりも、五輪切手のコレクターを意識して純然たるスポーツ切手だったのに対して、1970年の大阪万博に際して諸外国が発行した記念切手の多くが“日本”を強調した内容となっているのは、1964年の時点では“日本”よりも“五輪”の方が金になると彼らが考えていたことの証左ともいえましょう。

 また、近年、中国の経済力が強くなったことで、チャイナ・マネーを意識した“いかがわしい切手”が盛んに発行されているのも同様の事情で、逆に、そうした中国(人)向けの“いかがわしい切手”がいつごろから、どのようなテーマと頻度で発行されてきたのかを丹念にたどってみれば、中国の経済成長と中国人の関心の所在を歴史的にトレースできるはずです。

 こうした観点から今回ご紹介の切手を眺めてみると、この切手を企画したエージェントなりモザンビーク郵政の“フィラテリーの切手”の担当者なりは、日本向けの輸出商品として「自衛隊員に救出された赤ちゃん」というコンテンツが商品価値を持っていると判断したということがわかります。そして、それは、2年前の大震災を通じて、不眠不休で多くの国民のために奮闘してくださった自衛隊員の皆さんに対して、多くの日本人が感謝の気持ちを持っているという至極当然のことを、彼らが見て取った結果といえましょう。

 かつて、悪意を持って“自衛隊を暴力装置”と罵った元官房長官や、反自衛隊活動にはやたらと熱心な前科1犯(詐欺罪)の女性国会議員がいましたが、そういう連中が日本国民の多数派を占めている(と彼らが判断した)のであれば、日本向けの輸出商品にこのようなデザインが取り上げられることはありえません。なんといっても、商売なのですから。

 本来なら、自衛隊の祖国である日本こそ、率先して東日本大震災での自衛隊の活躍を称える切手などを発行して当然なわけですが、現状ではそうなっていないのは、一国民としてなんとも恥ずかしい限りです。来年(2014年)は、1954年7月1日に自衛隊が設立されてから60年という節目でもありますので、なんとか、そうした切手が発行されないものでしょうかねぇ。

 
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